Get us in your inbox

Spectre スペクター

  • 映画
  • 3 5 つ星中
  • お勧め
Spectre
広告

タイムアウトレビュー

3 5 つ星中

映画『スカイフォール』でチームを組んだ監督サム・メンデスとダニエル・クレイグは、ジェイムズ・ボンドを再びドライブに連れて行き、その結果は雑だが楽しいものとなった。

ダニエル・クレイグは今作『スペクター』がボンド役を演じる最後の映画かと聞かれると、口を滑らせたり慎重だったりしたが、内容から察するに、最後の作品になりそうだ。今作は、彼がボンドに扮した過去3作品の素晴らしい面、それほどでもない面をエキサイティングで、華やかにまとめ、そして少々長すぎる作品に仕上がっていた。


物語は「死者の日」のメキシコシティにいるボンドから始まる。仮面を被った群衆への突入、予期せぬ爆発、ヘリコプターの急襲シーン(これらのシーンは、ポップコーンで私たちを窒息させるのに最適だ)。そしてロンドンに帰ると、悪いニュースが待っている。M16の「00」プログラムが気味の悪い監視役エージェントC(アンドリュー・スコット)の陰謀に脅かされ、M(レイフ・ファインズ)やQ(ベン・ウィショー)、ボンドら老兵は廃棄寸前の状態に。もちろん、それ位のことでボンドは止まらない。オーベル・ハウザークリストフ・ヴァルツ)なる怪し気な男に操られる、刺客やテロリストなどのグループの跡を追い、ローマ、オーストリア、北アフリカなどを疾走するのだ。

ここまではとても滑かで魔法にかけられたかのように進む。サム・メンデス監督はすべてを完璧にコントロールし、クレイグの殴られたブルドッグのような魅力は満開、さらに一流撮影監督ホイテ・ヴァン・ホイテマのヴィジュアルは豊かでうっとりとさせられる。だが、レア・セドゥ扮するクールだがあまり良く書けていないキャラクター、マデリーン・スワンの登場と「慰めの報酬」のクライマックスを不愉快にも(おそらく非意図的に)彷彿させるサハラ砂漠でのアクションとの間のどこかで、アストンマーチンの車輪がガラガラと音をたてながら外れ始める。

1つの大きな問題は飽きれるほど説得力のない悪役だ。脚本は『スカイフォール」のようにボンドと敵との関係を簡単に説明しようとするが、それによって悪役は、ヴァルツの最善の努力にも関わらず、より怖くなるというよりおかしくなってしまった。実はこのことは今作を通して言えることだ。あまりに多くのことをやろうとし過ぎて、焦点がブレているのだ。後半になると感情の不在が更に明確になり、映画は次々とアクションを見せつけ、観客に物語への感情移入を要求しないばかりか、時として物語を理解することすら要求しない。

最終的に、バランスは取れていないが、面白いともつまらないとも言えない、古風で栄光に満ちた映画であった。今作でクレイグがタキシードとお別れすることになれば、彼はうるさい爆音の連続とともに去って行くことになる。
 
2015年12月4日(金)よりTOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー
 


 
テキスト:TOM HUDDLESTON

 (C)2015 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc., Danjaq, LLC and Columbia Pictures Industries, Inc. All rights reserved

テキスト:
Tom Huddleston

リリースの詳細

  • 公開日:2015年10月26日月曜日
  • 上映時間:148 分

出演者と制作者

  • 監督:Sam Mendes
  • 脚本:John Logan, Neal Purvis, Robert Wade, Jez Butterworth
  • 出演:
    • Daniel Craig
    • Christoph Waltz
    • Léa Seydoux
    • Monica Bellucci
    • Dave Bautista
    • Ben Whishaw
    • Andrew Scott
    • Ralph Fiennes
    • Rory Kinnear
広告
関連情報