Chikaru Yoshioka

Chikaru Yoshioka

Articles (22)

東京、5月に行くべきアート展5選

東京、5月に行くべきアート展5選

タイムアウト東京 > アート&カルチャー > 東京、5月に行くべきアート展5選  暖かく穏やかで、出かけるのが楽しい5月。ここでは、今月の見逃せないアート関連のイベントを厳選して紹介したい。エリアを上野から品川まで大幅に拡大した「東京建築祭」のほか、ジブリの世界に飛び込める「ジブリの立体造型物展」、1970年に開かれた大阪万博での岡本太郎の挑戦に焦点を当てたものなど。それぞれの作品世界を堪能してほしい。 関連記事『ゴールデンウィークに行くべき注目のアート展&芸術祭』
東京、4月に行くべきアート展5選

東京、4月に行くべきアート展5選

タイムアウト東京 > アート&カルチャー > 東京、4月に行くべきアート展5選 2025年4月に東京で行くべきアート展を厳選して紹介したい。 フィンランドのモダンデザイン界で圧倒的な存在感を放つタピオ・ヴィルカラを紹介する日本初の大規模展のほか、パティ・スミスとサウンドウォーク・コレクティヴによる最新プロジェクトの公開、デザインを体感する展覧会「デザインあ展neo」など、見逃せないアート展をセレクトした。 心踊る春にお気に入りの作品を見つけよう。 関連記事『4月から5月に行くべきアニメ展示』
「こち亀記念館」でしかできない5つのこと

「こち亀記念館」でしかできない5つのこと

タイムアウト東京 > カルチャー > 「こち亀記念館」でしかできない5つのこと 葛飾区亀有といえば、秋本治による漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(通称「こち亀」)だろう。亀有駅に降り立つと、主人公・両津勘吉(以下、両さん)の像が数カ所に設置されており、「ようこそ、亀有」と両さんのイラストとともに描かれたフラッグが目に入る。ここまで地域に密着した漫画は、ほかにないのではないか。 そして2025年3月22日、この地に新たに「こち亀記念館」が誕生した。両さんが「自分の記念館を勝手に建てた」ことをコンセプトとする同館では、エントランスから各階、階段、トイレの中まで、隅々までこだわりが凝縮した「こち亀ワールド」が施されている。 そんな同館のおすすめポイントを、5つに絞って紹介したい。
東京、3月に行くべきアート展5選

東京、3月に行くべきアート展5選

タイムアウト東京 > アート&カルチャー > 東京、3月に行くべきアート展5選 積極的に外出がしたくなる季節。グッとくる新しいアートとも出合いたい。ここでは、2025年3月に東京で行くべきアート展を厳選して紹介しよう。全て日本初公開・初来日となる抽象絵画の先駆者の「ヒルマ・アフ・クリント展」、「麻布台ヒルズギャラリー」での松山智一の東京で初となる大規模個展、「アーティストラーメンどんぶり」が登場する展示など、この春一押しのアート展をセレクトした。心に響く体験をしてほしい。 関連記事『東京、2025年注目のアート展13選』
東京、3月に行くべき無料のアート展9選

東京、3月に行くべき無料のアート展9選

タイムアウト東京 > カルチャー > 東京、3月に行くべき無料のアート展9選 アートにあふれる街、東京。ここでは無料のアートイベントを紹介する。 「銀座メゾンエルメス フォーラム」での、マリー・ローランサンや津田道子らによるグループ展や、休館中の「Bunkamura」館内での渋谷の街とストリートに焦点を当てた展示やイベントをはじめ、入場無料で楽しめるアート展を揃えた。気軽に立ち寄ってほしい。 関連記事『東京、3月に行くべきアート展5選』
東京、2月に行くべきアート展5選

東京、2月に行くべきアート展5選

タイムアウト東京 > アート&カルチャー > 東京、2月に観るべきアート展5選 2025年2月に東京で行くべきアート展示を厳選して紹介したい。全館オープンを迎える「横浜美術館」、4月からの休館を前にコレクションが勢揃いする「DIC川村記念美術館」といった建築空間も堪能したい展示や、20世紀前半を代表するアーティストカップルを特集する「アーティゾン美術館」など、他では見られないテーマのアート展をセレクトした。 今月はどんなアートに出合うだろうか。心躍るひとときを過ごしてほしい。 関連記事『東京、2月に行くべき無料のアート展8選』  
東京、2月に行くべき無料のアート展8選

東京、2月に行くべき無料のアート展8選

タイムアウト東京 > カルチャー > 東京、2月に行くべき無料のアート展8選 アートにあふれる街、東京。本記事では、2025月2月に行きたい無料のアートイベントを紹介する。 スクリプカリウ落合安奈ら若手アーティスト6人によるグループ展や、アーティストユニット・米谷健+ジュリアの個展、トレヴァー・ヤンと毛利悠子による二人展など、入場無料で楽しめるアート展を揃えた。参考にしてみてほしい。 関連記事『2月に開催される注目の芸術祭4選』
2月に開催される注目の芸術祭4選

2月に開催される注目の芸術祭4選

タイムアウト東京 > カルチャー > 2月に開催される注目の芸術祭4選 2025年2月に開催される芸術祭やアートフェアを厳選して紹介したい。アートとテクノロジーの祭典や、普段は一般非公開の会場で開かれるフェアなど、そこでしか体験できない創造性あふれるアート空間が待っている。 関連記事『2025年、見逃せない芸術祭8選』
チームラボプラネッツでしかできない5つのこと

チームラボプラネッツでしかできない5つのこと

タイムアウト東京 > アート&カルチャー > チームラボプラネッツでしかできない5つのこと 単一アートグループとして世界で最も来館者が多い美術館として、ギネス世界記録に認定された、豊洲の「チームラボプラネッツ東京 DMM」。国内外から高い評価を受ける同館が、2025年1月22日(水)に大規模拡張しオープンした。 今回、絶滅動物を捕まえる『つかまえて集める森』や、創造的な運動空間の『運動の森』といった20点以上の作品群を公開。さらに、ランを育成する空間で茶や酒を楽しむ『Orchid Glass House』などの新設や、ビーガンラーメンを食べる作品空間『Black Emptiness Table』も大々的にリニューアルした。 ここでは、新しい見どころが満載の増設スペースの魅力を5つに絞って紹介したい。 関連記事『チームラボでしか実感できない3のこと』
東京、1月に行くべき無料のアート展6選

東京、1月に行くべき無料のアート展6選

タイムアウト東京 > カルチャー > 東京、1月に行くべき無料のアート展6選 ここでは2025年1月に開催する入場無料のアート展を紹介したい。「TOTOギャラリー・間」での漫画と建築のコラボレーション展や、宮原夢画の写真展、丹下健三と隈研吾の建築展など、入場無料で鑑賞できるアート展を揃えた。リストを片手にアート巡りと街歩きを楽しんでほしい。 関連記事『2025年、見逃せない芸術祭8選』
東京、1月に行くべきアート展5選

東京、1月に行くべきアート展5選

タイムアウト東京 > カルチャー > 東京、1月に行くべきアート展5選 2025年1月に東京で行くべきアート展をお届け。「パナソニック汐留美術館」のル・コルビュジエの絵画芸術にスポットを当てる日本初の展覧会のほか、「森アーツセンターギャラリー」でのえりすぐりの古代エジプト美術が集結する展示など、見逃せない展覧会を紹介する。新たな年に新たな作品世界に出合おう。 関連記事『東京、2025年注目の漫画・アニメ展』
2025年、見逃せない芸術祭8選

2025年、見逃せない芸術祭8選

タイムアウト東京 > アート&カルチャー > 2025年、見逃せない芸術祭8選 地域やエリアの特色を生かしながら、国内外の先駆的なアートやパフォーマンスが一気に集結する芸術祭。ここでは、2025年に開催予定の全国各地の芸術祭を厳選して紹介したい。 初開催の「東京お台場トリエンナーレ」や「千葉国際芸術祭」のほか、瀬戸内の島々を舞台に繰り広げられる「瀬戸内国際芸術祭」や、「大阪・関西万博」を機に開催する「大阪関西国際芸術祭」など、来年の芸術祭巡りの参考にしてほしい。 関連記事『東京、2025年注目のアート展13選』

News (38)

都内で4店舗目、「SINGLE O」の旗艦店が神田・ワテラスコモンにオープン

都内で4店舗目、「SINGLE O」の旗艦店が神田・ワテラスコモンにオープン

コーヒー通の間で評判が高いオーストラリア・シドニー発のスペシャルティコーヒーショップ「シングル オー(Single O)」。神田「ワテラスコモン(WATERRAS COMMON)」の3階に2025年4月24日(木)、旗艦店の「シングル オー カンダ アワジ(Single O Kanda Awaji)」がオープンする。国内では、両国・浜町・渋谷と続く4店舗目だ。 モーニングからバータイムまで シングル オーは、2003年にシドニーで開業し、2014年に両国で海外初の焙煎(ばいせん)所を展開させた。今回の旗艦店は、「Going Big at Kanda Awaji」という、大胆な挑戦と大きなインパクトをテーマに掲げる。 Photo: Kisa Toyoshimaエントランス インテリアデザインは、シングル オー全店のデザインを手がけるシドニーの建築スタジオ、ルチェツティ・クレル(Luchetti Krelle)。原点であるシドニーの精神と、この神田淡路町が持つ多彩な文化と人の流れを融合した「スペースシップ」がコンセプトだ。 Photo: Kisa Toyoshima店内 同店では、初めてモーニングからバータイムまで営業。平日は、オフィスアワーに合わせて8〜21時、土・日曜日と祝日は9〜18時だ。仕事前の朝食や帰りの一杯など、ふらっと気軽に立ち寄れる場となるだろう。 ブレンドからシングルオリジンまで6種類のコーヒーを提供 シングル オーの特徴は、10秒でおいしいコーヒーが飲める、カップを置くだけで注がれるタップ式コーヒーサーバーの「コーヒー・オン・タップ」。同店では、定番のブレンドから世界各国から届いた個性豊かなシングルオリジンまで、6種類のコーヒーを提供する。 Photo: Kisa Toyoshimaカップを置くだけで注がれるタップ式コーヒーサーバー オフィスビルのエントランス横に入っているので、ビジネスマンにとっては、すぐに絶品コーヒーが手に取れるのもうれしい。 オーストラリアの朝食文化を導入した本格フード オーストラリアの店舗は、朝早くから開店し、15時には閉店するという。本店では、そのオーストラリアの朝食文化を導入したフードが初登場する。 Photo: Kisa Toyoshima左奥「マザーシップボウル」と右下「柚子ベニー」 玄米・マッシュルーム・季節の野菜・ポーチドエッグなどを使用した「マザーシップボウル」(1,400円、以下全て税込み)をはじめ、食パンにスモークサーモンや「柚子オランデーズソース」などを乗せた「柚子ベニー」(1,900円)といった、コーヒーとの相性を大切にした一品が並び、オーストラリアのカフェカルチャーも感じられるだろう。 遊び心を利かせたカクテルも また、シングル オーならではのカクテルとナチュラルワインも初提供。オレンジが添えられたハイボールは、リキュールにベーコンの油を使用しており、居酒屋のハイボールよりも甘めで、コクがある。 Photo: Kisa Toyoshimaシングル オーならではのカクテルとアルコールフリーのモクテル エスプレッソとオーツミルクのカクテルは、オーストラリアで一般的に使う植物・レモンマートルを使用し、「エスプレッソ・マティーニ」のような味わいだ。シングルオリジンを使ったコーヒーが入ったカクテルには、芋焼酎とシェリーを使用している。 Photo: Kisa Toyoshima左: ワインと同じ樽で醸成したビール「ワイルドフラワー」 そのほか、アルコールフリー
「浮世絵現代」が上野で開幕、草間彌生や横尾忠則らが参加

「浮世絵現代」が上野で開幕、草間彌生や横尾忠則らが参加

「東京国立博物館」の表慶館で2025年6月15日(日)まで、展覧会「浮世絵現代」が開催されている。 浮世絵の制作技術を高度に継承した職人を抱える唯一の版元「アダチ版画研究所」と、デザイナー、アーティスト、漫画家、イラストレーター、建築家といった85人のクリエーターが協働し、伝統木版画の可能性を追求した多彩な「現代の浮世絵」が楽しめる。 現代のクリエーターと職人が協働 会場では、草間彌生、塩田千春、横尾忠則、キキ・スミス(Kiki Smith)をはじめとする国際的な現代アーティストや、和田誠、粟津潔、田中一光といったデザイナー、建築家の黒川紀章らが絵師となり、研究所の彫師・摺師(すりし)たちとコラボレーション。江戸時代の浮世絵の技術を基礎とし、新しい表現を探求した浮世絵を制作した。 Photo: Keisuke Tanigawaエントランス 作品のテーマは幅広く、人間的なものから宇宙的なものまで勢揃い。優美なたたずまいの表慶館の建築ともマッチし、じっくりと個性あふれるユニークな現代浮世絵を楽しめる。 お馴染みのキャラクターが登場する漫画家による浮世絵 冒頭は、世界に誇る日本のカルチャー・漫画だ。 Photo: Keisuke Tanigawa安野モヨコによる美人画 Photo: Keisuke Tanigawa水木しげるの作品 水木しげる、石ノ森章太郎、池田理代子、安野モヨコといった漫画家たちによる、遊び心あふれるものや力強い作品に、目移りするだろう。お馴染みのキャラクターも登場するので、アートや浮世絵をあまり知らない人でも楽しめる。 Photo: Keisuke Tanigawa池田理代子の作品 現代的で多様な表現を味わう 力強く華やかな芸術であった江戸時代の浮世絵。現代となると、そのバリエーションはより豊かだ。 Photo: Keisuke Tanigawa靉嘔の作品 Photo: Keisuke Tanigawa加藤泉の作品 絵画・版画・立体などさまざまなモチーフを虹色のスペクトルで覆う作品で知られる靉嘔は、題材に葛飾北斎の『赤富士』を選び、鮮烈な色彩がほとばしっている。赤ん坊のような宇宙人のような、かわいさと不気味さを併せ持つ正体の知れないキャラクターの絵画で知られる加藤泉の作品は、背景の黒が美しく刷られている。 Photo: Keisuke Tanigawa田名網敬一の作品 Photo: Keisuke Tanigawaロッカクアヤコの作品 田名網敬一は、色彩がエネルギッシュに爆発。ロッカクアヤコは、春らしい色合いの鮮やかさと、自由なフリーハンドの表現が魅力的だ。 Photo: Keisuke Tanigawa花井祐介の作品 1950〜60年代のカウンターカルチャーから受けた影響に、レトロな雰囲気がミックスされたイラストレーションで人気を集めるアーティスト・花井祐介の作品は、立体的に収められている。 伝統木版画の工程も見せる アダチ版画研究所で行われている伝統技術の工程を見せるパネル展示や、北斎の『冨嶽三十六景』の刷り方も紹介する。 Photo: Keisuke Tanigawa展示風景 AIで簡単に作品が制作できる現在。時間も工程も肉体も要し、木という有機的な素材や人が使う道具とその過程、そして、表現の可能性が計り知れない伝統木版画のようなものはより特別になっていくだろう。 時代と社会を鮮やかに映し出すメディア 浮世絵の「浮世」は、「当世風の」という意味があり、浮世絵版画はまさに時代と社会を鮮やか
「デザインあ展neo」が虎ノ門ヒルズで開幕、遊び尽くせる現場をレポート

「デザインあ展neo」が虎ノ門ヒルズで開幕、遊び尽くせる現場をレポート

虎ノ門ヒルズの「トウキョウ ノード(TOKYO NODE)」で、デザインを体感する展示「デザインあ展neo」が、2025年4月18日〜9月23日(火・祝)の会期でスタートした。 本展は、子どもにデザインについてさまざまな思考・発見を楽しんでもらう、NHK「Eテレ」の番組「デザインあneo」のコンセプトを、体験の場へと展開したもの。全国を巡回した前回からおよそ4年ぶりの開催となり、第3期となる展覧会では、番組のコンセプトはそのままに、新たなテーマの新作を公開する。 体を動かしながら、日常に関わるデザインの世界に没入できる会場では、どんな世代でも楽しめる普遍的な面白さが広がっている。 テーマは「動詞」 テーマは、歩く・食べる・座る・持つといった日常に転がる「動詞」。デザインが日常の行為をどのようにつなぎ、どう作用しているのか、体を使って体験し、人間の営みとデザインの関わりをさまざまな視点から見ていく。 Photo: Kisa Toyoshimaイントロダクション「〜動詞の庭〜」 Photo: Kisa Toyoshima食べようとする動詞が並ぶ「ひとくち あーん」 注ぐ・読む・照らす・縫う・拭くなど、一日を振り返ると、朝から晩まで動詞の連続だ。食べようとする動詞が並ぶ「ひとくち あーん」では、箸やスプーン一つとっても、こんなにも動詞があるのかと改めて発見がある。デザインが、動詞と人との間にあることが感じられるだろう。 Photo: Kisa Toyoshima箸の間に挟まり、食べられる気持ちになる巨大な箸「たべられるきもち」 食べられる気持ちになれる巨大な箸「たべられるきもち」で、箸にも挟まれてみてほしい。 日常はデザインの連続 「日常生活にデザインと関わりのないものは何一つないのであれば、子どもの頃からデザインマインドは育んだ方がいいのでは」という一貫した思いを示す番組「デザインあneo」。この思いは展覧会にもつながっている。 Photo: Kisa Toyoshimaさまざまな度合いが選択できる「おいしそう!?」 白米、ハンバーグ、サンドイッチ、プリンアラモードが映る作品「おいしそう!?」では、それぞれ大きさ・焼き加減・ソースの量・角度・ズーム・具の量・デコレーション・硬さ・暑さ・温度・湯気・切り方といった度合いが選択でき、それがデザインとして完成する。 Photo: Kisa Toyoshimaオノマトペの積み木遊び「おのまとぴーす」 「おのまとぴーす」は、食感を表すオノマトペの積み木で遊べるもの。肉まん一つでも、あらゆるオノマトペが存在し、その多彩さに言葉の面白さを実感する。 Photo: Kisa Toyoshimaあらゆる「持ち手」が大集合した「もちてのむれ」 「もちてのむれ」では、ドアノブ、ゴルフ、ハサミ、クリップ、はんこといった、あらゆる「持ち手」が大集合。何の持ち手かじっくりと観察したい。 新たな視点を感じながら体を動かしまくる 会場では、大人も子どもも体をどんどん動かす。そして、集中すればするほど面白い。 Photo: Kisa Toyoshimaパイプに当たらないようにちくわを移動させるゲーム「もちはこびトライアル」 箸で挟んだちくわを、パイプに当たらないようにゴールに移動させる「もちはこびトライアル」。かなり集中力が必要だ。 Photo: Kisa Toyoshimaつぼを壊して、再び直す「こわすとなおす」 Photo: Kisa Toyoshima天井のごみ箱に扇風機の風でごみ袋を入れ
「LOVEファッション─私を着がえるとき」が初台で開幕、オープニングレポート

「LOVEファッション─私を着がえるとき」が初台で開幕、オープニングレポート

好きな服を着たい、あの人になりたい、我を忘れたい……。性別や年齢、仕事に関係なく別のアイデンティティーに変身できるドレス、袖を通すだけで気分が高揚するようなお気に入りの衣服、自信や勇気をくれるアイテム。ファッションは、あらゆる人の内なる欲望や願望、葛藤を表し、それぞれの情熱や憧れ=「LOVE」を受け止める存在であるといえる。 そんな、衣服を着ることに対しての人の愛着に焦点を当てた「LOVEファッション─私を着がえるとき」が、「東京オペラシティ アートギャラリー」で、2025年4月16日〜6月22日(日)の会期でスタートした。 ファッションのさまざまな「LOVE」の在り方を紹介 18世紀から現代までのさまざまな衣服74点と装飾品15点を中心に、現代アート作品40点ほどを加え、約130点の作品で構成された本展。会場を「自然にかえりたい」「きれいになりたい」「ありのままでいたい」「自由になりたい」「我を忘れたい」の5章に分け、ファッションに見られるさまざまな「LOVE」の在り方を紹介する。 Photo: Kisa Toyoshima18世紀のドレスや男性のベスト Photo: Kisa Toyoshima冒頭の展示風景 冒頭では、当時の人々の美意識が凝縮した18世紀のドレスや男性のベストが登場。非常に緻密で見事な刺しゅうは、貴族社会の華々しさが伝わる。 Photo: Kisa Toyoshima横山奈美の『LOVE』 また、横山奈美のネオン作品『LOVE』は、本展の象徴的な作品だ。「言葉にもし体があったら、ネオン管に近いのではないか」と考え、自身が書いた「LOVE」の文字をネオン管にしたという。 人間の願望が詰まった剥製や毛皮 「自然にかえりたい」という願望は衣服にも現れる。人類最初の衣服は自然界からもたらされ、自然の素材やモチーフは長い歴史の中で用いられてきた。 Photo: Kisa Toyoshima鳥の剥製が付いた19世紀後半の帽子 鳥の剥製が付いた19世紀後半の帽子には、自然への敬愛や自然を身にまといたいという、人間の情熱や欲望がダイレクトに感じられる。 Photo: Kisa Toyoshima猿の毛皮やフェイクファーのコート 豊かさや権力の象徴であった毛皮は、現在では動物保護をうたわれるもの。1920〜30年代の猿の毛皮のコートから、フェイクファーやエコファーへの移行からは、毛皮の温もりや肌触りに対する人間の執着が見て取れる。 Photo: Kisa Toyoshima小谷元彦による本物の「人毛」を使ったドレス そんな毛皮たちと並ぶ現代アートは、小谷元彦による本物の「人毛」を使ったドレス。生き物のような雰囲気を放っているので、じっくりと見てほしい。 川久保怜の代表的作品が集合 「きれいになりたい」という美への憧れは、どんな時代も尽きない。「ディオール」「バレンシアガ」の1950年代のオートクチュール作品からは、身体美への欲望が付き添う。そして、「ジル・サンダー」「ヨージヤマモト」などの彫刻的な現代ファッションからは、「美しさ」が多様に展開する。 Photo: Kisa Toyoshima「きれいになりたい」の章の展示風景 Photo: Kisa Toyoshima「コム デ ギャルソン」の体の一部分に大きなコブが付いたようなドレス 「コム デ ギャルソン」の体の一部分に大きなコブが付いたようなドレスは、川久保怜の代表的作品だ。素材の下に「膨らむパット」が潜んでおり、さまざまな部分に動かせる。胸や肩、腰とは異
銀座から「異彩を放つ」、へラルボニーの都内初の常設店舗が誕生

銀座から「異彩を放つ」、へラルボニーの都内初の常設店舗が誕生

「異彩を、放て。」をミッションに掲げ、「障害」という言葉のイメージ変容に挑戦するクリエーティブカンパニー「へラルボニー」。2025年3月15日(土)、銀座に都内発の常設店舗「へラルボニー ラボラトリー ギンザ(HERALBONY LABORATORY GINZA)」が誕生した。 1階はストアとギャラリー、上階が会議スペースとオフィスという、ショップ、ギャラリー、オフィスが一体となった同店。老舗の古美術からコンテンポラリーまで、アップデートし続ける街・銀座で、この場を実験室として、異彩を放つ作家とともに社会の価値観の変革を目指す。 福祉を起点に新たな文化を創るクリエーティブカンパニー 2018年に、地元の岩手県で松田崇弥と松田文登の双子の兄弟で創業させたへラルボニー。社名は、先天性の自閉症がある実兄が、7歳の頃に自由帳に記した謎の言葉だという。今回を機に一新させたロゴも、双子の間に兄が存在するデザインだ。 Photo: Kisa Toyoshima松田崇弥と松田文登 障害があるという時点で、正当な評価や報酬が得られず、支援やチャリティーなどの非営利的な文脈が強調されてしまう福祉アートの世界。それらのイメージを取り払うことを企てる同社は、知的障害のあるアーティストや福祉施設とのライセンス契約を結び、作品を商品化するブランド事業やライセンス事業を行っている。 Photo: Kisa Toyoshimaストアの風景 これまでに、ファッションや小物、ラッピングバス、JALビジネスクラスのアメニティー、スターバックスの内装など、さまざまなジャンルでコラボレーションを実現させてきた。 Photo: Kisa Toyoshimaストアの風景 現在では、約230人ほどの作家と契約。障害があることで収入を諦めていた作家や、その親たちの生き方が変化してきているという。2024年には国際アートアワード「HERALBONY Art Prize 2024」を初開催し、世界28カ国から応募を受け付けた。また、世界各国の革新的なスタートアップを評価する「LVMHイノベーションアワード2024」の「カテゴリ賞」を、日本企業で初受賞している。 2024年9月には、ヨーロッパを中心に海外作家との契約を進めるため、パリに「ヘラルボニーヨーロッパ」を設立。今や世界中が注目するクリエーティブカンパニーだ。 銀座から誰もが知るブランドへ ギャラリーとストアが常設するへラルボニー ラボラトリー ギンザでは、世界中から観光客が集まる銀座の地から、誰もが知るブランドを目指す。これまでインターネットでの販売が中心だったが、実店舗で実際に品が手に取れることで、プロダクトの印象を変えていくという。 Photo: Kisa Toyoshimaストアの風景 Photo: Kisa Toyoshimaストアの風景 アートの再現性にこだわるプロダクトは、作家の意思を尊重し、アートに最大限のリスペクトを込めたものづくりが特徴だ。 Photo: Kisa Toyoshima米沢織のネクタイ 日本の伝統技術を用いて、原画の魅力とアートのエネルギーをそのままに、「アートを外に持ち出す」ことを大切にする。シルクのネクタイは、1905年創業の紳士洋品の老舗「銀座田屋」と協働し、「米沢織」で作られている。 プロダクトの元になった原画が観られるギャラリー ギャラリーでは、プロダクトの元になったアートが鑑賞できる。作家も在廊し、ライブペインティングなどの機会も設けるという。初回の展示では、都内の特別支援学
東京で初、麻布台ヒルズでニューヨークで活動する松山智一の個展が開催

東京で初、麻布台ヒルズでニューヨークで活動する松山智一の個展が開催

「麻布台ヒルズ ギャラリー」で、世界が注目する次世代のアーティストの一人であり、ニューヨークを拠点に活動する松山智一の東京での初個展「松山智一展 FIRST LAST」が2025年5月11日(日)まで開催されている。空間に広がるダイナミックな絵画や大迫力の立体作品など、最新作を含めた作品群約40点を通して、壮大なスケールの作品世界を体感できるだろう。 海外でしか観られなかった作品が東京に集結 岐阜県生まれの松山は、クリスチャンの両親の下で幼少期をアメリカで過ごし、25歳で再び渡米。アメリカでアーティストとしてのキャリアをスタートさせ、20年以上ニューヨークを拠点に活動する。これまで絵画を中心に、彫刻やインスタレーションを制作し、上海やベネチア、ロンドンなどで作品を発表してきた。 Photo: Kisa Toyoshima松山智一 Photo: Kisa Toyoshima展示風景 日本での「クリスチャン」、社会においての「美術家」、アメリカでの「移民」といった特異なマイノリティーとしての背景を持つ松山。それらの独自の視点から世界を捉え直し、松山はグローバルな現代社会のリアリティーを壮観な絵画や迫力の彫刻で伝えている。本展では、これまで海外でしか観られなかった作品が一堂に集結した。 さまざまな要素が一枚の絵の中で共鳴 全ての作品は、東洋と西洋の伝統的絵画や、雑誌や建築の資料から引用されている。その中で情報を編集し、松山による現代アートの手法でサンプリング。無数の色で現代の情報化社会の姿を映し出す。 Photo: Kisa Toyoshima展示風景 Photo: Kisa Toyoshima展示風景 一枚の絵画を細かに観察すると、情報量はとてつもない。キリスト教を主題としたルネサンス期や近世の絵画、狩野派などの日本の伝統的絵画、ポテトチップスなどの大量消費される現代的な日常品やハイカルチャーなど、さまざまな要素がキャンバス上で共鳴している。フィクションなのか、リアルなのか。その境界線は弱く、仮想現実のようだ。 Photo: Kisa Toyoshima『Hello Open Arms』の展示風景 Photo: Kisa Toyoshima3Dスキャンでモノ化された制作する松山の腕 タイトルからオープンな印象を与える作品『Hello Open Arms』。その言葉は、アメリカで銃を所持してよいという意味を持ち、奥にレイヤーが潜む作品だ。周辺には、3Dスキャンでモノ化された、ニューヨークのスタジオに置かれてあるオブジェクトや、作品制作する自身の腕が配されている。 Photo: Kisa Toyoshima『Broken Kaleidoscope』の展示風景 花柄の壁に、天井からも彫刻がぶら下がる『Broken Kaleidoscope』は、没入型の作品だ。Amazonなどで購入した中国産の西洋風陶器を3Dスキャンで巨大化することで、新しい作品として提示。流動的な東洋・西洋文化や、その文化の行末先などを暗示している。 Photo: Kisa Toyoshima『The Fall High』の展示風景 狩野山雪の鳥の表現が引用された絵画『The Fall High』は、日本と西洋的な感覚が合わさり、解放感のあるノマディックな雰囲気を持つ。文化や政治的背景が端的に象徴される騎馬像は、アメリカ原住民との戦いの光景や、日本の騎馬武者象など、あらゆる世界で描かれてきた。松山は、このテーマを現代アートというグローバルな言語で捉え直して
六本木で「ラーメンどんぶり展」が開催、ユニークなアーティストラーメンどんぶりも

六本木で「ラーメンどんぶり展」が開催、ユニークなアーティストラーメンどんぶりも

日本を代表し、世界でも大人気の食べ物「ラーメン」。そのラーメンの器である「どんぶり」にスポットライトを当て、デザインの視点から調査・分析した展覧会「ラーメンどんぶり展」が、「トゥーワン トゥーワン デザインサイト(21_21DESIGN SIGHT)」で2025年6月15日(日)まで開催。 クリエーターによるオリジナルの「アーティストラーメンどんぶり」も40点登場し、ラーメンを切り口に、あらゆる視点からデザインの世界を楽しめるだろう。 在り方が多様な現代のラーメン 岐阜県東濃地方のうち、土岐市、多治見市、瑞浪市、可児市にまたがる地域で製作される陶磁器「美濃焼」。多様な焼き物の産地であるこの地域では、日本のラーメンどんぶりの9割が作られている。 Photo: Kisa Toyoshimaラーメンにまつわる事柄を細かくかみ砕く本展 Photo: Kisa Toyoshima展示風景 本展は、ラーメンどんぶりを切り口に、美濃焼を知るプロジェクトの一環だ。過去にロサンゼルスやサンパウロ、多治見で開催された展示の拡大バージョンとして実現した。 ラーメンにまつわる事柄を細かくかみ砕く本展の冒頭では、ラーメンが登場するあらゆる漫画の一コマや、ラーメン史の年表が登場。まず、ラーメン自体を俯瞰(ふかん)し、理解を深める。 Photo: Kisa Toyoshimaラーメンが登場するあらゆる漫画の一コマ 現代のラーメンは、世界中に存在する即席麺から、ミシュランの星を獲得するラーメン店、宇宙食のラーメンまで、その在り方が実に多様だ。漫画『美味しんぼ』からの「ラーメンという下劣なものを私に食べろと言うのか」などといったセリフで、社会の世相からラーメンの立ち位置を捉える。 ラーメンをデザインの視点で解剖 次に、ラーメンとは何かを、外側から内側へとデザインの視点でじっくりと解剖していく。 Photo: Kisa Toyoshimaデザインの視点でラーメンを解剖 どんぶりの白さや、手にしっとり吸い付くようなマットな触感、たたくと奏でる澄んだ高音。また、ラーメンを食べ始める時の温度や、食べ終えるまでの好ましい時間なども徹底的に解析。併せて、どんぶりを作る際の道具、制作過程なども紹介する。 Photo: Kisa Toyoshima日本全国の店舗オリジナルどんぶり ラーメンどんぶりコレクターの加賀保行が集めた、日本全国の店舗オリジナルどんぶりもずらりと陳列。そのバリエーションの豊かさは見応えがあるだろう。 必見の「アーティストラーメンどんぶり」 注目は、アーティスト、デザイナー、建築家、イラストレーター、料理研究家たち40人がデザインした、オリジナルの「アーティストラーメンどんぶり」。糸井重里、竹中直人、田名網敬一、束芋、皆川明、ヒグチユウコ、深澤直人、横尾忠則らが名を連ねる。 Photo: Kisa Toyoshima深澤直人のどんぶり Photo: Kisa Toyoshima竹中直人のどんぶり ラーメンに対する考えや思い出、食べ進めることで見えてくる意図など、コメントとともにどんぶりが展示されている。 Photo: Kisa Toyoshimaヒグチユウコのどんぶり Photo: Kisa Toyoshima田名網敬一のどんぶり 具材がいらない深澤の「素ラーメン用どんぶり」、自由に作っていいと言われたため自由自在にデザインした竹中、いつか作ってみたいと思っていたどんぶりを手がけたヒグチ。田名網は、昼に必ずラーメンを食べていたが、ある日黒い
神秘的な抽象絵画世界へ、ヒルマ・アフ・クリントの展覧会がアジア初上陸

神秘的な抽象絵画世界へ、ヒルマ・アフ・クリントの展覧会がアジア初上陸

スウェーデン出身の女性画家、ヒルマ・アフ・クリント(Hilma af Klint、1862〜1944年)のアジア初となる大回顧展「ヒルマ・アフ・クリント展」が、「東京国立近代美術館」でスタートした。本展は、21世紀になってから世界にその存在を知られるようになり、抽象絵画を創案した画家として再評価が高まる、アフ・クリントの全貌を紹介するもの。高さ3メートルを超える代表作『10の最大物』の10点を含め、140点の作品群が初来日となる貴重な機会だ。 日本初でアジア初の展覧会 2010年代から世界的に注目され、突如美術界に登場したアフ・クリント。彼女はスウェーデン王立芸術アカデミーで正規の絵画技術を身に付け、卒業後は職業画家として活動する。その一方で神秘思想に傾倒し、アカデミックとは全く異なる降霊術の体験を通して、抽象絵画を制作した。 Photo: Kisa Toyoshima『10の最大物,グループIV,No. 6.7,成人期』1907年、ヒルマ・アフ・クリント財団 Photo: Kisa Toyoshima『大型の人物像絵画、WU/薔薇シリーズ、グループⅢ、No.6』1907年、ヒルマ・アフ・クリント財団 1944年の死後、20年は作品を封印すると遺言に残されていたことから、長らく限られた人にしか作品が知られていなかったが、1980年代以降いくつかの展覧会で紹介が始まった。 2018年、ニューヨークの「グッゲンハイム美術館」で行われた展覧会では、同館史上最大となる約60万人超を動員。世界にセンセーションを起こし、その表現の先駆性や緻密な体系性など、モダンアート史上極めて重要な存在として評価されている。 Photo: Kisa Toyoshima『無題』1941年、ヒルマ・アフ・クリント財団 Photo: Kisa Toyoshima『パルジファル・シリーズ、グループⅡ、エーテルの折り畳み』1916年、ヒルマ・アフ・クリント財団 本展は、今日の美術界において最も興味深いアーティストの一人である彼女の、アジア初となる待望の展覧会だ。 精神世界の探究によって生まれた抽象絵画 没後70年たっても色あせることない、現代絵画と並ぶコンテンポラリーな魅力を放つアフ・クリント作品。先駆性を持つ彼女の抽象絵画は、スピリチュアルリズムや秘教的思想が基盤となる、精神世界の探究によって生まれた。 Photo: Kisa Toyoshima『進化、WUS/七芒星シリーズ、グループ Ⅵ』1908年、ヒルマ・アフ・クリント財団 Photo: KisaToyoshima『原初の混沌,WU/ 薔薇シリーズ,グループ Ⅰ』1906–07年、ヒルマ・アフ・クリント財団 思春期から霊的世界や神智学に関心を寄せていた彼女は、神秘的霊知によって神を認識できると説く信仰である神智学協会や、キリスト教や神智学の教えを融合したエーデルワイス協会の一員となる。そこで交霊や瞑想(めいそう)によって霊性からのメッセージを受け取り、それを作品として描き続けていた。 壮大なスケールの代表作『10の最大物』 高さ3メートルの壮大なスケールの代表作『10の最大物』は、圧巻だ。幼少期から老年期へと人生を4段階に分け、男性性を表す青色、女性性の黄色、白色と色彩が徐々に変化していく。 Photo: Kisa Toyoshima『10の最大物』展示風景 Photo: KisaToyoshima『10の最大物,グループIV,No. 1.2,幼年期』1907年、ヒルマ・アフ・クリント財団 よく
ヤノベケンジの宇宙猫島が登場、「ハイパーミュージアム」が飯能にオープン

ヤノベケンジの宇宙猫島が登場、「ハイパーミュージアム」が飯能にオープン

埼玉県飯能市の自然豊かな「メッツァビレッジ ムーミンバレーパーク」の森の中。宮沢湖のほとりに2025年3月1日(土)、次世代を開くアートを発信する現代美術館が誕生する。その名も「ハイパーミュージアム飯能」だ。 アート作品を「未来からやってくるコンテンツ」と捉え、ハイパーな才能を持つアーティストと協働し、時代に一石を投じる同美術館。8月31日(日)まで行われるオープニング展「ヤノベケンジ 宇宙猫の秘密の島」では、自然に溶け込む作品のストーリーに没入し、アートの面白さを今一度発見する、驚くべき体験が待っている。 ぶっ飛んだアーティストのハイパーな才能を 同館の館長に就任したのは、日本のアート業界を第一線でリードする、アートプロデューサーで編集者、京都芸術大学教授の後藤繁雄。閉塞(へいそく)を破り超えていくアートの思考や、才能に期待が高まる時代の先が見えない現代で、それを担うのは「ぶっ飛んだアーティスト」の「ハイパーな才能」だという。 Photo: Tsukio Nakanishi外観 アートにおける「キャラクター」や「ストーリー」を重要視し、AIを駆使したテクノロジーを取り入れ、自然とデジタルの新しい表現を探る現代美術館を目指す。 Photo: Tsukio Nakanishi開会式での館長・後藤繁雄 最大規模で最高傑作のヤノベケンジ展 オープニング展を飾るのは、世界的な造形アーティストであり、ストーリーテラーのヤノベケンジ。約80点から成る時代性とヤノベの個人史をクロスする館内展示と、外の立地を生かした巨大な造形『宇宙猫島』で構成される。 企画・キュレーションを手がけた後藤は、一般的に難しいという印象を持たれる現代アートのイメージから離れ、周囲の森を活用・増幅させてくれるような想像力を持つアーティストとしてヤノベを評価し、本展を協働した。 Photo: Tsukio Nakanishiヤノベケンジ 今年で作家活動35周年を迎えるヤノベは、1997年にチェルノブイリを訪問。時代のカタストロフをいち早くユーモラスな形態でアート化し、目次録な作品に取り組んできた。ビジョンや物語を用い、強烈なインパクトを持つ彫刻やキャラクターで知られている。本展は、自身にとって最大規模で最高傑作とのこと。この場所が「想像力を与えてくれた」とヤノベは語る。 Photo: Tsukio Nakanishi展示風景 Photo: Tsukio Nakanishi展示風景 作品を楽しむコツは、ヤノベの空想から始まり、作品群に通底するストーリーだ。現在も展示中で、後藤が展示プロデュースも務めた、「ギンザ シックス(GINZA SIX)」での巨大作品『BIG CAN BANG』。この作品は、地球に生命と文化をもたらした「宇宙猫」というバックストーリーを持つ。本展はそのスピンオフで、人類にとって美術はどういうものかといった問いを、使者の宇宙猫が作品を通して伝える 。 Photo: Tsukio NakanishiAIで描かれたカラーの絵画 また、これまでの活動を振り返り、現在につながるまでの立体・原画・特別映像も並ぶ。カラーで描かれたものは、AIによる制作。宇宙からやってきた猫もAIも、外側から提示されたものとして、今一度美術を考え直すという意味が込められている。 ボートでたどり着く『宇宙猫島』  一度見たら忘れられない、本展のために作られた湖に浮かぶ『宇宙猫島』。ボートに乗って、周囲50メートルの人工島である作品にたどり着く美術館は、世界中探してもないだろ
魅惑の美食体験、外苑前の「JULIA」が春のシーズンメニューを展開

魅惑の美食体験、外苑前の「JULIA」が春のシーズンメニューを展開

2017年にオープンした、外苑前のイノベーティブレストラン「ジュリア(JULIA)」。ニューヨーク・マンハッタンのミシュラン一つ星レストラン「グラマシータバーン(GRAMERCY TAVERN)」で修行したシェフのnaoと、日本ワインのペアリングを行うオーナーソムリエの本橋健一郎の夫婦が営む隠れ家的なレストランだ。 料理は、スナックやデザートを含み、アルコールとノンアルコールのペアリングが選択できる「OMAKASEコース」のみを展開する。国産食材とジャパニーズワインに特化し、ペアリングのワインありきで料理の内容を組み立てるというユニークなスタイルが特徴。フルーツや野菜を中心とした色鮮やかで軽やかなメニューで、多くの人を魅了し続けている。 2024年10月に発表された「ミシュランガイド東京2025」では、2年連続「セレクテッドレストラン」として選出され、フランス発の本格レストランガイド「ゴ・エ・ミヨ2024」にも掲載。この春展開のシーズンメニューでは、旬の食材を使用した料理とペアリングで構成されたコースで、ジュリアだけの世界観が詰まった魅惑の美食体験を提供する。 Photo: Chikaru Yoshioka「鮪 | 大根」 Photo: Chikaru Yoshioka「雲丹 | 酒粕」 ビンテージ家具が並ぶ1階のラウンジで、まずは食前酒とスナックを堪能。自家製柑橘シロップによるノンアルコールと、長崎の五島列島で作られたスパークリングワインとともに、ハマグリとナノハナ、和がらしをアクセントにしたマグロの漬けのフィンガーフードを頬張る。最後のプレートは、北海道産のウニと酒カスを使ったチュロスという斬新な組み合わせだ。 Photo: Chikaru Yoshioka黒と白を基調とした内装 内装は、白と黒を基調としたモノトーンでまとめられ、色彩豊かな料理を一層引き立てる。ソムリエ・本橋の母親のニックネームが店名の由来となっているジュリアの根底にあるのは、愛のある食事で人を幸せにする母の姿。ラウンジには、その母親や、食材や生産者を訪ね日本各地を旅した旅行先での写真が飾られ、温かなストーリーを感じる空間が広がっている。 Photo: Chikaru Yoshioka2階のダイニング Photo: Chikaru Yoshioka「帆立 | 蕗の薹」 2階のダイニングに移動し、茨城県を中心に全国各地の食材による料理と、世界が誇れるジャパニーズワインのペアリングコースを満喫する。料理に合わせた梅干しのダシのノンアルコールと、茨城県産の白ワインとともに現れるのは、ホタテのフリットとキウイを合わせた前菜だ。春らしいフキノトウが添えられ、晴々しい緑がまぶしい。 Photo: Chikaru Yoshioka「柑橘 | 烏賊 | 昆布」 Photo: Chikaru Yoshioka「鰻 | 苺」 焼きミカンとカモミールを合わせたノンアルコールと一緒に口にするのは、「柑橘 | 烏賊 | 昆布」。昆布とイカ墨のソースとともに、スパイシーなカルダモンが印象的だ。ハイビスカスとイチゴのノンアルコールとともに登場するのは、炭火焼きのウナギに茨城県産のイチゴの「鰻 | 苺」。チーズのソースが添えられ、焼きたての蒸しパンとともにゆっくりと味わう。 Photo: Chikaru Yoshioka「蝦夷鹿 | 季節野菜」 ビーツやホウレンソウのソースと北海道産のエゾシカの「蝦夷鹿 | 季節野菜」は、余市の赤ワインや薫香を付けたノンアルコールとともに
ヱビスが荒木飛呂彦とコラボ、恵比寿に巨大美人画が登場

ヱビスが荒木飛呂彦とコラボ、恵比寿に巨大美人画が登場

2024年にオープンした「ヱビス ブルワリー トウキョウ(YEBISU BREWERY TOKYO)」で、漫画家・荒木飛呂彦による巨大美人画を展示する「美人画で巡るヱビス」展が、2025年2月13日(木)〜5月31日(土)の会期でスタートする。『ジョジョの奇妙な冒険』で絶大な支持を獲得し、世界中の人を魅了し続ける荒木ならではのダイナミックな色使いと構図で、現代的で活力に満ちた美人画を展示。また、会場限定の特別なオリジナルビールも販売される。 ヱビスビールの歴史を象徴する美人画 「ヱビスビール」は1890年に誕生し、その後美人画を広告ポスターとして展開。当時の美的感覚が反映され、ビールの高級感と優雅さを表現した美人画は、特別な体験を提供するブランドとしての地位を確立するための力となった。美人画は、ヱビスビールの歴史と伝統を感じる重要な要素であったのだ。 Photo: Kisa Toyoshimaヱビスビールの歴史を象徴する美人画の数々 会場では、当時の美人画を本展用に加工したものが公開される。 荒木による3メートルの現代版美人画を展示 続いて、『ビーチパトロール』と『ウエスタン』という2点の荒木による作品が、躍動感あふれる3メートルの美人画として登場。今回、初めて美人画というものを描いた荒木は、「美人」の概念から考えたという。そして、自身の漫画に登場するような、力強く意思のある表情の、活動的な女性キャラクターを描いた。 Photo: Kisa Toyoshima『ウエスタン』 和服の柄に場面や背景が描かれているのもユニークだ。ビビッドなオレンジ色に、太陽、イルカ、バナナといったトロピカル柄や、西部の荒野をイメージさせるウエスタンのモチーフがちりばめられている。 Photo: Kisa Toyoshima3メートルの美人画『ビーチパトロール』 ビールを飲んでいる人が、絵を見ながらどのように飲むかを想像し、ビールを楽しめる季節感や癒やされるシーンを表現したという。エネルギッシュで現代的な、全く新しいイメージの美人画には、「人生楽しくいこう、前向きに上がっていこう」という荒木のメッセージが込められているのだ。 Photo: Kisa Toyoshima荒木書き下ろしの恵比寿様 Photo: Kisa Toyoshima恵比寿様のスタンプ また、ヱビスの象徴である荒木書き下ろしのおめでたい「恵比寿様」も登場。恵比寿様をデザインしたスタンプは、訪問記念になるだろう。 数量限定の缶ビールやグッズは必見 『ビーチパトロール』と『ウエスタン』がプリントされた缶ビールは、2月12日から数量限定で発売される。缶に作品をプリントするのは初めてという荒木による華やかな缶ビールは、ぜひ手に取りたい。 Photo: Kisa Toyoshima2月12日から数量限定販売の缶ビール Photo: Kisa Toyoshima限定のグッズ 期間限定販売のグッズも必見だ。鮮やかで魅力的な美人画がプリントされたステッカーやTシャツ、トートバッグが並び、ファンにはたまらないだろう。 会場限定のオリジナルビールも また、荒木が命名した数量限定のオリジナルビール「受け継ぐ者」も、会場だけで特別に飲める。「ビールは物語」をコンセプトとし、1000年以上の長い歴史を持つドイツのホップと、最新品種を組み合わせた爽やかな味わいだ。 Photo: Kisa Toyoshima会場の風景 解放感あふれる広い館内で、楽しくビールを味わいながら、美人画も鑑賞できる本展。改め
早世の奇才・ビアズリーの展示が丸の内で開催

早世の奇才・ビアズリーの展示が丸の内で開催

25歳で他界したイギリスの画家、オーブリー・ビアズリー(Aubrey Beardsley、1872〜1898年)。彼は20歳で脚光を浴びてから、結核で亡くなるまでの5年半の間に、約1000点の作品を残した。10代から外光をカーテンで締め切ったロウソクの部屋で制作し、完成前の作品は限られた親しい友人を除いて誰にも見せたがらなかった。 丸の内の「三菱一号館美術館」では、そんな時代の花形であったビアズリーの生きざまを全て見せる大回顧展「異端の奇才――ビアズリー展」がスタートした。直筆50点を含めた約220点の作品が一堂に会する本展では、開幕前から平日の前売り券が完売となり、ロックスターのような立ち位置で人気のあるビアズリーの凝縮された画業を、余すことなく堪能できる。 スタイルの変遷を素描や代表作でたどる 10代半ばから家計を助けるため日中に事務員として働く傍ら、帰宅後に独学で創作を続けていたビアズリー。1893年に、トマス・マロリー(Thomas Malory、1399〜1471年)の『アーサー王の死』やオスカー・ワイルド(Oscar Wilde、1854〜1900年)の『サロメ』の挿絵で一躍脚光を浴びた。その後亡くなるまでは、凄まじい勢いで制作をしたが、作風は変化に富む。本展では、そのスタイルの変遷を素描や代表作でたどる。 Photo: Chikaru Yoshioka展示風景 Photo: Chikaru Yoshioka展示風景 初期の作品は相当精緻に描き込まれ、『サロメ』以降は画風を大胆に変更させている。余白を取り、白と黒の分割や線が鮮明に描かれ、シンプルで極めて洗練された作品が並ぶ。 Photo: Chikaru Yoshioka宣伝ポスターの展示風景 Photo: Chikaru Yoshioka「アングロジャパニーズ様式」の調度品も並ぶ ビアズリーが活躍した時代は、イギリスにおけるジャポニズムが流行した時でもあり、ビアズリーもその影響を受けた。モダンデザインにも通じ、ジャポニズムの影響とイギリスが本来持つ雰囲気を併せ持つ「アングロジャパニーズ様式」の調度品は、『サロメ』の挿絵にも表れている。 ロウソクで制作したアトリエ環境の再現 10代半ばから、ロウソクの明かりで制作していたビアズリー。そのスタイルは20代で成功した後も抜けず、昼間でもカーテンで外光を遮断した部屋で創作していた。その雰囲気を再現した空間が会場に登場する。 Photo: Chikaru Yoshioka制作環境を再現 赤い壁には、仕事部屋で制作する様子を描いた自画像『詩人の残骸』が掲げられ、ビアズリーの美意識がじわじわと伝わるだろう。 「18禁」の作品世界へ 1895年にワイルドが同性愛で投獄され、定収入を失ったビアズリーは、当時すぐにもうけになる性的な絵画を進んで制作した。ビアズリーによる黒猫が見張る黒の透けるカーテン越しの展示空間は、「18禁」の世界が広がる。 Photo: Chikaru Yoshioka黒いカーテンで仕切られている「18禁」の展示空間 Photo: Chikaru Yoshioka「18禁」の展示空間 また、かわいらしさという一般的概念に譲歩した初の作例『恋文』や、1895年の『愛の鏡』など、その後も尽きることない制作意欲で画風を変化させ、多彩な作品を残した。しかし、幼少期から患っていた結核が悪化し、後期はほとんど起き上がれず、25歳で他界する。 Photo: Chikaru Yoshioka『恋文』の展示風景 Ph