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Rikimaru Yamatsuka

Rikimaru Yamatsuka

作家

山塚リキマル

1990年、北海道富良野市出身。『指示待ち世代のカリスマ』との呼び声も高い、SF(ソウルフル)作家/プロ知ったかぶり。 大型特殊免許/フォークリフト/猟銃免許/わな猟免許所持。口癖は『疲労困憊』。 小説/評論/解説/作詞/漫画原作/コラム/エッセイ/インタヴュー/広告記事など、ジャンル横断的な著述活動を旺盛に展開する。’22年、自費出版した雑誌『T.M.I』が小ヒット。

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Articles (4)

2024年度公開、人気漫画の実写映画7選

2024年度公開、人気漫画の実写映画7選

タイムアウト東京 > 映画 > 2024年度公開、人気漫画の実写映画7選 2024年は人気漫画の実写映画が熱い。まぁ実際は2023年も2022年も2021年も、なんなら「あしたのジョー」や「銭ゲバ」が実写化された1970年も熱かったわけであるが、例によって今年も熱いわけである。 2000年代後半から、「漫画の実写化作品」は年間30本前後が制作されており、ファンやアンチが公開前からSNSで「キャスティングが神」「原作愛が感じられない」といって喧喧諤諤やり合うのも含めて、もはや国民的な関心事のひとつとなっている。されば踊る阿呆(あほう)に見る阿呆、同じ阿呆なら何とやらというやつで、このビッグウェーヴに乗らない手はない。 「いまや日本映画はオリジナル脚本のものはほとんどない。人気の原作があって、ある程度の観客動員を見込めるものでなければ制作されない」と嘆くシネフィルの気持ちも分からんではないが、これはもはや祭りなのだ。 本稿では、2024年に公開される実写化作品の中から注目作を紹介する。 関連記事『2024年公開の注目映画15選』『日本で最もセクシーな映画俳優』

正月・冬休みに観たい日本映画7選

正月・冬休みに観たい日本映画7選

タイムアウト東京 > 映画 >正月・冬休みに観たい日本映画7選 あれよあれよで気がつきゃ師走、いよいよ来たる年末年始。猫も杓子もチルアウト、諸人こぞりてリラックス・ムードに包まれるこの時節、 たこ揚げやこま回し、相撲や羽根突きに興じるのも大いに結構だが、 「クソ寒いのに外なんか出たかねぇよ!」というインドア主義の人に勧めたいのはやはり、映画鑑賞である。 つーワケで今回ワタクシ、「正月・冬休みに観たい日本映画」をセレクトした。 ダラダラしながら観るのにうってつけのユルいコメディや、 新年に向けて気合いを注入するためのパワフルな時代劇など、多様なジャンルを取り揃えてみたので、ぜひ各々のモードに合わせて鑑賞してみてほしい。 おひとりさまで、あるいは友達や家族、もしくはパートナーと、コタツに入ってミカンを食べたり、部屋を暗くしてブランケットを頭からかぶったりしながら映画を観る。これほど楽しいことはない。 関連記事『クエンティン・タランティーノ映画、全作品ランキング』『人生で観ておくべき、日本映画ベスト50』

あなたのタトゥーを見せて(友人編)

あなたのタトゥーを見せて(友人編)

タイムアウト東京 > カルチャー >あなたのタトゥーを見せて(友人編) 僕にはタトゥーが入っている友人がたくさんいる。もともと僕は札幌で中華一番というヒップホップクルーをやっていたのだけれど、ARIKAという画家で彫り師の青年が加入したのをきっかけに、彼にタトゥーを入れてもらうメンバーがちらほら現れ出したのがターニングポイントではなかったかなと思う。いつか死ぬその日まで残り続けるそれを、気心の知れた友人に彫ってもらう。というのは、きわめて深いコミュニケイション=魂の交接だ。 今回、僕はタトゥーが入っている友人たちに質問をぶつけ、その意味やエピソードを問うてみることにした。で、やっぱりそれぞれに意味があって、ちゃんとエピソードがあった。タトゥーとは皮膚にモチーフを刻み込むだけではなく、意味とエピソードも刻み込むものなのだと思った。 ここでは友人の素晴らしいタトゥーとともに、その回答を紹介する。 関連情報『東京で行くべきタトゥースタジオ』『日本風のタトゥーを入れる前に知っておくべきこと』

2023年度公開、人気漫画の実写映画7選

2023年度公開、人気漫画の実写映画7選

タイムアウト東京 > 映画 > 2023年度公開、人気漫画の実写映画7選 日本人が映画館に足を運ぶ平均ペースは「年1」なのだという。これはアメリカと比較すると4分の1の回数で、「日本人はあんまり映画館には行かないんだナァ」という小学生並みの感想を思わず述べてしまうが、そんなふうに映画鑑賞がけっして盛んとはいえない我が国において、常に話題をかっさらい続けている一大ジャンルがある。『漫画の実写映画』だ。 漫画の実写映画は、SNSにおけるトレンドの常連であり、ファンにせよアンチにせよ「これについて何かひとこと言わなくてはならない」という高いコメント誘発性を持っている。「好きの反対は無関心」という陳腐なテーゼを持ち出していえば、漫画の実写映画こそまさしく国民的な関心事のひとつといえるであろう。いわば祭りだ。 原作ファンや洋画信者も、偏見や先入観はいったん置いて、祭りに参加しようではないか。本稿では2023年度に公開される漫画の実写映画の中でも、これは相当な祭りになるのではないかという注目作を紹介する。 関連記事『2023年公開の注目映画17選』『日本で最もセクシーな映画俳優』

News (13)

パンクスは君に語りかける――映画『i ai(アイアイ)』を観て

パンクスは君に語りかける――映画『i ai(アイアイ)』を観て

いま、もっとも勢いのあるロック・バンドのひとつであるGEZANのフロントマン、マヒトゥ・ザ・ピーポーが監督・脚本・音楽をつとめた初の映画『i ai(アイアイ)』を観てきた。現代の音楽シーンにおいてGEZANが異様な存在であるように、本作もまた、現代の劇映画シーンにおいて異様なものだった。 単調な日々を送る平凡な青年が、破天荒なバンドマンとの出会いをきっかけに、バンドを組み、人生の輝きを獲得していく。というあらすじだけ書いてしまえば、何やらさわやかでステキでいい感じの青春映画に思えるが、本作はさわやかでもステキでもいい感じでもない。本作はあまりにも切実だし、無責任に甘い夢や明るい未来をみせたりはしない。ただ、はじまり続ける“いま”を力強く描き出す。 画像提供:アニモプロデュース(左)マヒトゥ・ザ・ピーポー 日本の未来はウォウウォウウォウウォウなどとほたえ騒いでいた世紀末を過ぎ、「ひょっとしたら俺たちに明るい未来なんかないんじゃね?」と若者たちが気づき始めた2000年代初頭に制作された『EUREKA(’00)』や『LOVE/JUICE(’01)』、『リリイ・シュシュのすべて(’01)』、『青い春(’02)』、『Laundry(’02)』などの、青春期の傷や痛み、喪失や無力感をまなざしたオルタナティヴな映画群と本作は、共通する手ざわりをもっている。それはありきたりな表現でいうなら“ヒリヒリする”という感覚だ。 ポップであることを拒絶する、状況主義的アプローチ これはパンクスが作った映画だな、と思った。技術的に稚拙であるとか、反体制的だとか、そういう意味ではない。状況主義的なのだ。スペクタクルに中指を突き立て、強烈なアジテートをくりかえす。 どこまで意識的にやっているか解らないが、本作はポップであることを拒絶していると思う。本作ではさまざまな事件が起こるが、その根拠はほとんど提示されない。映画におけるポップとは「なぜこうなったか」「なぜそうしたか」という説明責任を十全に果たし、観客の好奇を刺激しながら理解と納得を得ることだと思うが、『i ai』にそういったそぶりは見られない。本作の抽象的な演出やバランスを欠いた構成、生々しすぎる録音は、安易な共感や理解をこばむ。 画像提供:アニモプロデュース 森山未來演ずる破天荒なバンドマンの“ヒー兄”はまさしくその権化のような存在で、猛スピードで意味や理由をひたすらぶっちぎり続ける。意味や理由をぶっちぎる、というのはロックンロールの基本原理だ。つまりは「I Can't Get No Satisfaction 」であり「I Can't Explain」である。 画像提供:アニモプロデュース   画像提供:アニモプロデュース ただ、説明的ではないけれども、情報量はすさまじい。宮沢賢治めいた汎神論的世界観が見え隠れする、マヒト独特のアフォリズムに満ちた脚本はパンチラインの宝庫で、とにかく言いたいことを言い続けている。モブ表現やゴーストノート的な装飾、ハンドルの“あそび”の部分を排し、たえず何かをまっすぐに突きつける。その剥き出しのことばの強さは、人物像の書き分けやシーンの整合性にすら侵食しており、邦画の現代劇としてはっきりと異様だ。本作にマヒトが出演していないのは至極当然だと思った。なぜなら本作の登場人物は、すべてマヒトゥ・ザ・ピーポーの依代だからだ。 白昼夢的な映像美 ドント・シンク・フィールな作劇に寄り添う映像は、みごとに場の“空気”をとらえている。撮影を手がけたのは写真家の佐内正史だが、的確なロケハンも

意識や身体がリフレッシュされる感覚

意識や身体がリフレッシュされる感覚

2月9日より西麻布台にオープンしている体感型美術館「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」に行ってきた。僕ごときが説明するまでもないと思うが、チームラボとはプログラマーやエンジニア、数学者や建築家や編集者など様々な分野のスペシャリストを擁するデジタル・コンテンツの制作クルーである。 アプリ開発やインフラ構築など多岐にわたる事業を展開しているが、その中でもいちばん有名なのがプロジェクションマッピングを多用したデジタル・アートだ。まぁここまで知ったような口ぶりで書いたが、僕はチームラボの作品をこれまで体感したことはなかった。「マジいいよ」という評判はかねてから耳にしていたし、ティザー映像を観て“何コレすっげー!”とか思ったりもしていたが、ずっと足を踏み入れる機会を持たぬまま、今日こんにちまで生きてきたのである。 Photo: Kisa Toyoshima 五感を駆使している感覚 んで、実際に体験してみてどうだったかというと、面白かった。とにかくスケールがやばいし、幻想的なビジュアルにも静謐な興奮を感じたが、 なにより、頭や身体がリフレッシュされるような感覚をおぼえた。コレには少々驚いた。 無数のセンサーやプロジェクターがリアルタイムでコンピュータ駆動される超サイバー空間であるからして、ものすごおおおおおおくSFな世界観を想像していたのだが、じっさいの手触りはむしろ、オーガニックなものだった。 山の奥深くに入ったときのような、五感を駆使している感覚があった。 Photo: Kisa Toyoshima たんに見て触れるだけでなく、フロア毎のコンセプトに沿って調香師が作ったアロマの香りが漂っているわ、幻想的な音楽が薄いヴェールのようにたちこめているわ、供されるドリンクにも仕掛けが施されているわで、もう空間そのものがこちらの五感にたえずアクセスしてくる。 Photo: Kisa Toyoshima 美術館特有のしかめつらしい緊張感はここにはなく、自然の中にいるときと同種の開放感がある。そして壮大でイマジネイティヴな光の交錯は、たんに一方通行的に提示されるのでなく、全方位的に相互作用しながら変化している。 Photo: Kisa Toyoshima 触れたり歩いたり立ち止まったりすると、こちらの動きに合わせて壁や床にエフェクトが現れるし、各フロアも単独で成立しているのでなく、あらゆるエフェクトが行き来しているのだ。つまりはボーダレス、境目というものがないからして常に影響しあっており、おなじ瞬間は二度とない。これは、わたしたちが生きる現実世界のトレスでもある。 Photo: Kisa Toyoshima 積極的に、そして能動的に 万物は影響し合いながら存在している。バタフライ効果、あるいは“風が吹けば桶屋が儲かる”というように、わたしたちの振る舞いはたとえそれがどれほど微弱な動作であっても、確実に世界に影響を与える。だが、普段の暮らしにおいて、それを肌で実感するのはむずかしい。 『自分がただここにいるだけで、なにかしらに影響を与える』『いまこの瞬間は二度とない』という事実を、わたしたちはすぐに忘れてしまう。だが、そのフィードバックをめちゃくちゃファンタジックにブーストしたこの美術館は、そうした事実をまざまざと体感させてくれる。 「わたし」と「世界」の関係性を自覚させてくれる。その結果、鑑賞者はとても積極的になり、能動的にふるまう。 Photo: Kisa Toyoshima 僕も初めこそおっかなびっくり壁

人間が生きていくには祭りが必要だ、「Road Trip To 全感覚祭」

人間が生きていくには祭りが必要だ、「Road Trip To 全感覚祭」

今、日本でもっとも勢いのあるロックバンドの一つ、GEZANおよび、彼らが主宰するレーベルの十三月が企画する野外フェス「Road Trip To 全感覚祭」に行ってきた。2014年から行われてきたこのフェスは文字通り、数々の伝説を作り上げてきたことでも知られている。 その中でも2019年、台風19号の影響によってあえなく中止という憂き目に遭いながら、渋谷のライヴハウスを会場にサーキットイベントとして急遽開催された「SHIBUYA全感覚祭 Human Rebelion」は、本邦の音楽史における革命的出来事として、多くの人々の記憶に刻み込まれたことだろう。 Photo:水谷太郎「Road Trip To 全感覚祭」会場の様子 その伝説の夜から、コロナ禍を経て、実に4年ぶりとなった本イベントは、なんと開催10日前に公式アナウンスされるという、まぁ言葉を選ばなければ『いかれてる』ものであり、本当に実現するのか?と思っていたのだが、実現した。それも大成功といってやぶさかではないほどに。無理が通れば道理が引っ込むというが、これほどこの言葉を体現しているバンドを、僕はGEZAN以外に知らない。狂気じみたパッションとすさまじい行動力によって、すべてを「持ってゆく」チカラだ。 Photo:水谷太郎「Road Trip To 全感覚祭」会場の様子 これぞパンクだとかDIYだとかインディペンデントだとか言えば解りやすいだろうが、それは解りやすいが故に、目が粗く雑だ。全感覚祭は、そうした言葉では拾い切れない混沌と不条理、爆笑と慟哭、死の匂いと生の爆発、頭蓋骨まで熱くなるようなギリギリの感情の猛りに満ちあふれている。すなわち祭りだ。人間が生きるためには祭りが必要なのだ。 Photo:水谷太郎 『Just Do It , Now’s The Time』。どれだけ無茶で無謀でも、彼らは今、何がなんでもこの祭りを遂行したかったのだろう。生きるために、生かし続けるために、そして心から信じるもののために。「でも、やるんだよ!」という、祈りにも似た決意が渦巻いていたあの夜のなかで、僕が見たものについて、忖度なしに述べていこうと思う。 ウケるぐらいの寒さ、やばいぐらいの熱気 2023年11月18日、舞台は川崎「ちどり公園」。工場地帯のド真ん中にある臨海公園で、近年はレイヴなども開催されているスポットだ。「やばいぐらい寒い」と事前に伝え聞いていたのでガチガチに着込んでいったのだが、ウケるぐらい寒かった。 Photo:水谷太郎 冷たい海風が吹きすさぶ広大な会場には、トラッククレーンを用いて作られた全感覚ステージ、小箱のライヴハウスのようなセミファイナルジャンキーステージ、テント前に組まれたかちこみステージ、色とりどりの電飾で彩られた祭壇が設置されたSPACE SHIPがあり、それぞれの場所で、絶えることなく異様な熱演が繰り広げられていた。 Photo:水谷太郎切腹ピストルズ ジャズもヒップホップもハードコアもテクノもサイケデリックも、あらゆるジャンルが輪郭をはみ出しながら同居するカオスな無国籍感と、たくましい生命力がみなぎりまくるその様は、ごつごつした剥き身の自由を感じさせる。 本来、100人キャパのライヴハウスでしか体感し得ないはずの、たぎる血の気と汗の匂い、身の危険を感じる緊張感、脳天が爆裂するような衝動がそこかしこに横溢していて、野外フェスとしてシンプルに異常だ。この異常を僕は頼もしく感じた。「全感覚祭って、こういうイヴェントだったよな」と、アタマではなく、肌で思

あまりに面白すぎる、文化系の楽園「TOKYO ART BOOK FAIR」

あまりに面白すぎる、文化系の楽園「TOKYO ART BOOK FAIR」

「東京都現代美術館」にて毎年行われている、アートブックの祭典「TOKYO ART BOOK FAIR 2023」に行ってきた。今年は11月23〜11月26日(日)の4日間にわたって開催されているのだが、その初日に足を運んだ。 Photo:Runa Akahoshi 津々浦々、世界各国から集結した約300組もの出版社やギャラリー、ショップやアーティストが出展し、さらにはゲストを招いてのトークショーや子ども向けのワークショップ、サイン会やライヴパフォーマンスも行われるという、なんかもう文化系の楽園みたいな催しなのだが、いやもう超ヤバかったっスねー。 人が。 超ヤバかった客入り 僕が訪れたのは16時ごろだったのだけれども、現代美術館の前には『新型iPhoneの発売日ですかな?』と思うぐらいの長蛇の列ができており、会場内に入るとかなり盛り上がってるパーティー並みの人。とにかく来場客でゴッタ返しまくり。 Photo:Runa Akahoshi会場の様子 しかも、なんかオシャレでシュッとしてる人ばっかりなんで、寝癖丸出しでひときわ見すぼらしい格好をした僕は肩を縮こまらせ、なるべく迷惑にならぬように息を潜めて回遊していたワケなんだけど、いやあ、それにしても面白かったー。面白すぎ。「こんだけ面白くて見応えあるんだから、そりゃあ人も集まるわな」っていう、マジで超志の高いイベントだった。 Photo:Runa Akahoshi 実は僕は今回が初めてではなく、去年、友人の出店ブースを間借りして自著のサイン会をやったので(3人しかサインしてない上に、そのうちの2人は僕から「よかったらサインとか要りませんか?」とありがた迷惑な営業をかけた格好なので、サイン会と呼ぶのもおこがましいのだが)、この盛り上がりっぷりは知らなくもないのだけれど、去年より人が多かったんじゃないだろか。 出店ブースの豊かすぎるバラエティー まず地下2階と1階に分けられた出店ブースだが、もうこれだけで既に来る価値がある。「アートブック」と銘打たれてはいるけれども、実際に扱われる品目たるや大変バラエティー豊かで、画集、写真集、ZINE、漫画、絵本、ポスター、Tシャツ、トレーナー、キャップ、ポーチ、トート、ステッカー、ポストカード、カセットテープ、フィギュアなど多岐にわたる。しかも、そのどれもこれもがハイクオリティーでハイセンス。 Photo:Runa Akahoshi 古着屋のカウンターに手慰みに並べられるような雑貨類のレヴェルではなく、確かな審美眼と高い文化水準と熱量に裏打ちされた「グッド・シングス」ばかりなのだ。眺めているだけで、脳と視神経をつないでいる部分が喜んでいるのが解る。そしてその喜びは、ダイレクトな知的興奮をもたらす。 根底に息づくリベラルさ 僕はスッカリ興奮しまくりながら、「うわおー! なんだこのチープでケバくて異様にサイケデリックな漫画! 超かっけー! この超巨体の女性のヌードしか載ってない写真集もクソやっベー! なんだこれ、ハングルのタイポグラフィ!? 初めて見た! うわおー! 全部うわおー!」などと騒ぎ、混雑するブースを次々に見て回った。 Photo:Runa Akahoshi Photo:Runa Akahoshi 本当にいろいろなものがあるが、その振れ幅はとても大きい。 気候変動や貧困、ジェンダーについて取り組んだZINEも、ハリウッドスターの卒アル写真に「ACID喰ったらGODに会える」という文言を書き添えたステッカーもある。 だが、その根底にはすべて、

3日間限定、TAPPEIのライブタトゥーイベントのおもしろさ

3日間限定、TAPPEIのライブタトゥーイベントのおもしろさ

渋谷区・神宮前にある「トランクホテル キャットストリート」展示スペースで2023年11月15日から開催されている、タトゥーアーティストやグラフィックデザイナーとして活動するTAPPEIのライヴタトゥーイベント「TAPPEI ART SHOW “INK,NEEDLE,HUMAN“」に行ってきた。 Photo:Kisa Toyoshima会場の様子 TAPPEIはそのオリジナリティーあふれるスタイルが高く評価されており、ナイキやアンダーカバーといったブランドとのコラボレーションや、雑誌「EYESCREAM」での4コマ漫画の連載、渋谷パルコで個展を開催するなど、現在あらゆるシーンから注目を集めている気鋭のアーティストである。 Photo: Keisuke Tanigawa渋谷パルコでの展示の様子 3日間(17日まで)にわたって行われている本イベントは、毎日16時から21時まで、1人のモデルの背中にタトゥーを掘りつづけ、それをTAPPEIの頭部に取り付けられたアクションカメラによって撮影し、その映像をリアルタイムでプロジェクターで映し出すというものだ。 Photo:Kisa Toyoshima会場の様子 僕が訪れたのは初日の18時前、つまり施術が開始されてわずか2時間足らずというところであったが、もう下絵はすべて終わっていて、筋彫りも20パーセントほど進行していた。 タトゥーのことは詳しくないが、少なくともライヴイベントとして十分に成立するスピード感ではないだろうか。タトゥーアーティストの友人がいるので、タトゥーを彫られている光景というのは世間平均と比して見慣れている方だと思うのだが、やはり彫られてゆくさまというのはシンプルに画としてカッコいいし、とても面白い。 Photo:Kisa ToyoshimaモデルとTAPPEI 針が皮膚に触れたときのヴァイブレーションや、ゴム手袋をはめた両手のせわしないタッチ、職人的霊感、背骨の隆起や関節の微動、機材やワセリン、ひそやかな呼吸、期待をはらむ緊張感など、どれをとっても「現場」でしか味わえない独特の質感がある。 何か悪いことをしているときのような、息をひそめてドキドキする感覚。壁面に大写しにされたTAPPEI本人の視界と手さばきから、その静かで深い集中力が伝播してゆくようだ。 Photo:Kisa Toyoshima 近年はこうしたイベントというのは珍しくなくなってきているそうだが、集中力を共有するようなその感覚はなかなか刺激的なもので、会場にいた10人ほどの観客も固唾(かたず)をのんでそれを凝視していた。施術されているスキンヘッドのモデルは、何やら小説を読みふけっており、このなかなか異様な環境においてひとりだけ完全にリラクシンしていて、それも含めて面白かった。 Photo:Kisa Toyoshima ポップなサイケデリック風味とサグなストリート感覚、そしてシニカルなユーモアセンスが渾然一体となった、アメリカのアンダーグラウンドコミックのような彼の作風は、一言で、ひじょうに「かわいったらしい」ものであり、ともすればソレは「ヘタウマ」とも称されるのかもしれないが、そのバランス感覚はとてもすぐれている。会場の壁面におそらく油性ペンの一発描きでえがかれたであろうグラフィティを見ればそれがすぐに分かる。 Photo:Kisa Toyoshima壁面に描かれたTAPPEIの作品 Photo:Kisa Toyoshima会場ではオリジナルTシャツの販売も さまざまなキャラクターやアイテムが

身体の美と健康にこだわる「アラビア料理店」がスポーツの聖地に誕生

身体の美と健康にこだわる「アラビア料理店」がスポーツの聖地に誕生

千駄ヶ谷にあるスポーツの聖地「東京体育館」に、「アラビアンレストラン&カフェバー オアシス(Arabian Restaurant & Cafe Bar Oasis)」が、2023年10月1日オープンした。   日本ではあまり馴染みのない中近東地域のアラビア料理を中心に、「身体の美と健康にこだわり、美味しく楽しくお洒落な気分を味わえるレストラン&カフェバー」をコンセプトとして、栄養バランスのとれた活力の出るメニューと洗練された空間を提供する。   Photo:Kisa Toyoshimaアラビアンレストラン&カフェバー オアシス 外観 アラビア料理とは、アラブだけでなく、中東や地中海地域など幅広いイスラム文化圏の食文化を内包した料理で、エジプト料理やトルコ料理、サウジアラビア料理やイスラエル料理なども含まれる。中東の暑い気候でも健康的に生活できるように、さまざまなスパイスやハーブ、柑橘類やオリーブ油などをふんだんに使って味付けされているのが特徴だ。    Photo:Kisa Toyoshima店内の様子 Photo:Kisa Toyoshimaテラス席もあり使い勝手が良い スポーツ施設に併設したレストランということもあり、管理栄養士が監修したというメニューはいずれもヘルシー志向。栄養価が豊富なスーパーフードを多用し、低カロリー、低糖質・脂質を意識した料理や、免疫力向上と美肌効果などを期待したスムージーやフレッシュジュースを取り揃える。ハラルやベジタリアンにも対応したメニューも用意しており、昨今提唱されるフードダイバーシティにも意欲的である。 提供されるメニューの一部アラビアンレストラン&カフェバー オアシス アラビア文化に関心のある人はもちろん、千駄ヶ谷周辺に暮らす人、ジムの利用客やイベントの来訪客における「砂漠の中のオアシス」になることを目指し、今後はさまざまなメニューやイベントを企画していく予定だという。運営会社であるアーバンズ合同会社のCMO・柳堀源太郎は「オアシスがあるから東京体育館へ行く、というぐらいにしたい」と語っており、かなりの熱意がうかがえる。 メニューはいずれも地中海や北アフリカ、ヨーロッパの食材にこだわり、聞きなれない名前が多いが、その味わいは「好きな人は好きだよね」というようなエキセントリックなものではない。しっかりとした旨味と滋養に満ちた、ポピュラリティーにあふれるメニューばかりだ。 Photo:Kisa Toyoshima「エジプトのコシャリ」は1,400円(以下、全て税込み)。前菜とスープ、ドリンクが付く 例えば、エジプトの大衆料理「コシャリ」である。現地の言葉で「混ぜ合わせる」という意味で、シェフの石高曰く「日本でいえばラーメンのような国民食」なのだそう。米やパスタ、ヒヨコ豆、レンズ豆などをミックスし、好みで酸味ソースや辛味ソースなどをかけて食べるのだが、とても腹持ちがよく、しかもヘルシーときているからうれしい。 日本人がエジプト旅行した際の思い出のトップ3は「ピラミッド、スフィンクス、コシャリ」と言われるほどに、日本人の舌と心をとらえるポテンシャルを秘めたソウルフードだ。     Photo:Kisa Toyoshima「チキンカプサ」は前菜とスープが付いて1,540円 そして「チキンカプサ」は、羊肉や鶏肉などを米と一緒に炊く、サウジアラビアの伝統的なピラフ。スパイスの香りが食欲をそそる一品だが、日本で本場のカプサが食べられる店というのは数少ないそうで、こちらも試してほしい。  Phot

築地本願寺でイギリスと日本が融合、最新ジャズを堪能した夜

築地本願寺でイギリスと日本が融合、最新ジャズを堪能した夜

2023年9月22日、築地本願寺で行われた「Temple Expansions」に行ってきた。現行のUKジャズシーンで注目される、Total Refreshment Centre周辺アーティストを招聘し、彼らと日本のミュージシャンとの交流をコンセプトに東京・横浜・名古屋・大阪の7会場で行われていたのだが、僕はその初日公演を観に行った。 会場に足を踏み入れた時点で、まずそのロケーションのかっこよさに驚いた。会場中央にスピーカータワーを設置、そのまわりに演奏者が輪をつくり、さらにそれを観客が取り囲んでいる。 Photo: Keisuke Tanigawa会場の様子 さまざまな機材が組まれ、青と紫のライトに照らされた礼拝堂はなんともミステリアスで、わくわくするようなハレの空気に満ちていた。奥に鎮座する仏壇が、また神秘性をかきたてている。ヴィジュアルだけでいえば、人生で体験したフロアライヴの中でもぶっちぎりのかっこよさだ。 Photo: Keisuke Tanigawa Photo: Keisuke Tanigawa イギリスの旬のアーティストと日本の気鋭の音楽家が一堂に会するスペシャルな機会ということで、集まった客層も幅広く、ファッショナブルな若者から年配の貴婦人、さらには制服姿の高校生までもおり、本イヴェントの注目度の高さがうかがえた。 野心と知性、そしてショーマンシップ トップバッターを飾ったのはNAGAN SERVER and DANCEMBLEだ。 「フジロック」や「りんご音楽祭」など野外フェスにひっぱりだこのラッパーでウッドベーシスト・NAGAN SERVER(ナガンサーバー)によるコレクティヴで、Suchmosの鍵盤奏者TAIHEI、SOIL & PIMP SESSIONSにも参加しているサキソフォニストの栗原健、新鋭ドラマーの松浦千昇、名門バークリー音大出身のJacksonという、名だたるプレイヤーたちを擁したスーパーグループである。 Photo: Keisuke TanigawaNAGAN SERVER とまぁ知ったふうなことを書いたが、僕はこの方々は完全に初見であり、上記はすべて後日検索で得た情報だ。 彼らの音楽はひとことでいえば、いろんなダンスミュージックのエッセンスを折衷した「人力ジャジーヒップホップ」だ。と言うと「そんなバンド100万個ぐらいあるだろ」というツッコミが入りそうだが、アンビエントなど非ダンスミュージック的な質感も携えていて、野心とインテリジェンスを感じる。 Photo: Keisuke Tanigawa グルーヴもコシが強くて腹筋があり、エフェクティヴなサックス、手数の多いパワフルなドラム、多彩なパーカッション、セクシーな鍵盤が流動的に混じり合い、その中をのびのびと泳ぐようにハスキーなラップが乗っかってゆくさまは、シンプルにとてもカッチョいい。しかも、時にはウッドベースを弾きながらラップするのだ!  Photo: Keisuke Tanigawaサキソフォニストの栗原健 長尺のサックスソロやフリースタイル、ドラムとパーカッションの応酬など、ショーマンシップにあふれたパフォーマンスも随所に挟みこまれており、フロアをじゃんじゃん沸かせていた。 彼らのライヴで演者と観客が最もひとつになった瞬間は、NAGAN SERVERが「こんな場所でビール飲めるってすごいよね」と言い放った時だ。ビールを片手にした観客たちは、誰もがうなずきながら苦笑した。御多分に漏れず、バトワイザーを手にしていた僕も思わず苦

歌舞伎町の元廃ビルを舞台にアート展「ナラッキー」が開催

歌舞伎町の元廃ビルを舞台にアート展「ナラッキー」が開催

2023年9月2日から歌舞伎町・王城ビルで開催中の展示「ナラッキー」に行ってきた。1964年に竣工され、名曲喫茶、キャバレー、カラオケ店、居酒屋と業態を変化させながら2020年3月まで営業。それ以降は試験的にあらゆるイヴェントが開催されている。 Photo: Keisuke Tanigawa王城ビル 来年以降はついに歌舞伎町のアートのハブとして、全館を使用して本格始動する予定だそうで、その第1弾が今回のビルを丸ごと使ったChim↑Pom from Smappa!Groupによる新作インスタレーション展ということなのだそうだが、なんともはや実にシゲキ的であった。 っつうかズルい。こんなの面白くないワケがない。   Photo: Keisuke Tanigawa かの岡本太郎は、「東京国立博物館」で異様な形の縄文土器に出くわしたとき「なんだこれは!」と叫んだというが、僕が本展で受けた衝撃はまさしくこんな具合であった。とにかくワケが分からないのだけれども、大いにワクワクドキドキさせられる、極めてプリミティブなコーフンがあった。 猥雑で、強烈で、恐怖を感じるほどの毒気と生命力をはらむ作品の数々は、建築物と渾然一体となり、ひいては新宿・歌舞伎町全土とも共鳴して、なんともアヤしい魅力を放っていた。   入館時点で探検マインドMAX   まず、入館するための手続きがすでにオモシロイ。ビルの入り口で入館料を支払い、カラオケ店の伝票を模した入館証をもらうのだが、それから一旦外へ。そして歌舞伎町弁財天を経由し、風俗店の脇の路地裏を抜けてから内部へと侵入するのである。 Photo: Keisuke Tanigawa入館証 僕が赴いたのは20時過ぎだったが、活気にあふれた晩夏の歌舞伎町で、一見して廃墟としか思えないビルへと入っていくというのはそれだけでテンションが上がる。鉄の扉を開くと、廃墟特有の、亡霊のような気配が充満していて、もうすでに探検マインドがMAXに振り切れる。気分はさながら『バイオハザード』、もしくは『ストレンジャー・シングス』である。ズルい。こんなの面白くないワケがない。 Photo: Keisuke Tanigawa Photo: Keisuke Tanigawaビル裏口に残るネズミの古巣穴。「巣(奈落)」(2023) 濃縮還元し、歪曲された歓楽街のムード   んで、5階建てビルを順番に回覧してゆくツクリになっているのだが、扉を開けて最初に目撃することになるのがインスタレーション『奈落』だ。本展示のためにビルに開けた穴から1階の床から屋上を超えて外まで続く吹き抜け空間でサーチライトの光が延び、九月の夜の都会の空を照射している。 群青色の薄闇に剥き出しのコンクリートが広がり、尾上右近の自主公演『研の會』の公演中に奈落で録音されたという歌舞伎公演の音声が流れているという、あまりにも異形な空間だ。   Photo: Keisuke Tanigawa「奈落」(2023) 「つかみはOK」というヤツで、初っ端から一発カマされた状態で歩を進めてゆくと、次に登場するのがビデオインスタレーション『はじまり』である。Chim↑Pom from Smappa!Groupのエリィの口元をクローズアップした映像が流れていて、どうやら2人の会話音声が重ねられている。 その内容はどうやら「MISIAはメジャーシーンにおいてかなり早い段階でドラァグクイーンを起用していた」という、彼女の先進性をクラブカルチャーなどとひもづけて語っているものらしい。 Phot

100年後に残したいアート、千葉で参加型の芸術祭が初開催

100年後に残したいアート、千葉で参加型の芸術祭が初開催

千葉県誕生150周年事業の一環として、市原、木更津、君津、袖ケ浦、富津の内房総5市を舞台に、「百年後芸術祭~環境と欲望~内房総アートフェス」が開催される。「100年後の未来を創っていくための、共創の場」をコンセプトに、100年後に残したいアートや食、音楽などを表現する、誰もが参加できる芸術祭だ。 総合プロデューサーは、ジャパニーズポップス史における最重要レジェンドの一人であり、農と食とアートを融合させた千葉県木更津の複合施設「クルックフィールズ(KURKKU FIELDS)」の代表を務める小林武史が就任。総合アートディレクターには、アートによる地域再生のパイオニアであり、地域に根ざした芸術祭をこれまで数多く手がけてきた北川フラムが務める。 百年後芸術祭 芸術祭は「en Live Art Performance」「ENNICHIBA(エンニチバ)」「アート作品展⽰」「⽣きる⼒を養う学校」という4つの企画を軸に、各エリアやイベントの内容に合わせて実施していく。 イベント・パフォーマンス期間となる2023年9月30日(土)~2024年5月5日(日)には、さまざまな分野のアーティストやクリエーターが新しい表現を創り出すために結成されたチーム「Butterfly Studio」 による、音楽・映像・ダンス・光・テクノロジー(ドローン)を融合させたライブアートパフォーマンスを、内房総5市を巡回して公演を行う。 音楽はチームの主宰である小林が手がけるほか、舞台美術はクエンティン・タランティーノやジブリ作品への参加でも知られる種田陽平、映像はテレビコマーシャルやミュージックビデオの分野で知られる柿本ケンサクが担当。あらゆるジャンルの才能が合流する、まさしく総合芸術的なパフォーマンスになりそうだ。 「ENNICHIBA(エンニチバ)」では、「縁日」「市場」「千葉」が融合した食と学びの新たな食体験として、生産者や流通加工業者、シェフらとともに千葉県の豊かな食文化を、屋台やワークショップなどで実践・提供する。 レギュラーシェフは、1995年生まれの若き俊英、山名新貴。スペシャルイベント「百宴」では、人と自然、人と人とが「分かち合う」をテーマに直火を使った新たな食体験を届けるという。 ENNICHIBA(エンニチバ) レギュラーシェフの山名新貴 2024年3月23日(土)~5月26日(日)はアート作品展⽰期間。国内外で活躍する名和晃平、藤本壮介、Abdul-Rahman Abdullahら気鋭の現代アート作家の作品が、内房総5市に展示。いちはらエリアにおいては、過去3回開催した「いちはらアート×ミックス」の成果を継承し、「アート×ミックス 2024」として約50作品を展開する。 さらに一夜限りのスペシャルライブとして、YEN TOWN BAND(vo.Chara)、Lily Chou-Chou(vo.Salyu)、Kyrie(vo.アイナ・ジ・エンド)が出演する「円都LIVE」が10月21日(土)に開催。 岩井俊二と小林武史という希代の才人のコラボレーションによって生まれた「スワロウテイル」「リリイ・シュシュのすべて」「キリエのうた」という3作から生まれたスーパーバンドが合流するこの一夜について、小林は「1つの協奏組曲と呼べるものを作り得ると思っています」とコメントしている。 円都LIVE 五感を駆使してあらゆる角度から文化芸術に触れ、漠然とした「未来」というものに想いを馳せるキッカケとなりそうな話題の芸術祭、ぜひ体感してみては。 関連記事 『202

90年代を代表するアニメ「幽☆遊☆白書」のアグリーセーターが発売

90年代を代表するアニメ「幽☆遊☆白書」のアグリーセーターが発売

1990年代を代表する漫画・アニメ「幽☆遊☆白書」。 当初は、交通事故死し、幽霊となった主人公の浦飯幽助がさまざまな事件を解決するハートフルな感動ドラマ路線であったものの、幽助が霊界探偵となって妖怪と闘うというバトル路線にシフトし大ヒットした。 連載期間約4年、全19巻という比較的短期で終了した作品ながら、天才・冨樫義博の名声を決定付け、ミーム化した数々のシーンやセリフとともに現在でも根強い人気を誇る名作シリーズだ。 画像提供:株式会社ニットファクトリー「幽☆遊☆白書」アグリーセーター このほど、2023年末からNetflixで実写ドラマシリーズが配信されることから、同作のキャラクターを大胆にあしらったアグリーセーターの発売が決定した。 アグリーセーターとは、クリスマス特有の柄を過剰なまでに編み込んだ「ダサい(アグリー)」デザインのセーターのこと。欧米ではホリデーシーズンのジョークギフトとして高い人気を誇り、毎年12月の第3金曜日は「アグリーセーターデー」としてイベントが開催されるほどである。近年では「ダサかわニット」として日本でも浸透しつつあるアイテムだ。 画像提供:株式会社ニットファクトリー幽☆遊☆白書アグリーセーター〈戸愚呂兄弟〉 このたび発売される「幽☆遊☆白書」のアグリーセーターには、主要キャラクターをそれぞれフィーチャー。 少年漫画史に残る必殺技・霊丸を放つ幽助の勇姿(プー助もさることながら、相対する敵が朱雀であることにも注目である)、作中屈指の名ヴィラン・戸愚呂弟の迫力タップリな顔面(兄もニット柄だとどこかファンシーな印象)、名ゼリフ「邪眼の力をなめるなよ」とともにこれまた少年漫画史に残る必殺技・邪王炎殺黒龍波を放たんとする飛影(作中人気ナンバーワンキャラだけあってかなりガチな仕上がり)など全5着、ファン垂ぜんのラインアップとなっている。 画像提供:株式会社ニットファクトリー幽☆遊☆白書アグリーセーター〈飛影〉 画像提供:株式会社ニットファクトリー幽☆遊☆白書アグリーセーター〈蔵馬〉 「幽☆遊☆白書」のアグリーセーターの価格はそれぞれ1万4,300円(税込み)。現在、ヴィレッジヴァンガードとpaludeのオンラインサイトにて予約販売受付中だ。価格はそれぞれ1万4,300円(税込み)となる。各種コラボレーションによってストリートブランドのモチーフとして再評価の機運が高まっている「幽☆遊☆白書」だが、実写ドラマの公開によってますます人気が高まるであろうことは間違いない。 今年のホリデーシーズンは、お気に入りのキャラのセーターを身に着け、ストリートを闊歩(かっぽ)してみては。もちろん実写ドラマもマストで要チェックだ。ちなみに筆者は、実写ドラマについては「成功」にベットする。 関連記事 『解放を目指し新たなステージへ、「Rakuten Fashion Week」開幕近づく』 『新進気鋭のデザインレーベル「HE∀DS」が、A24制作の新作映画とコラボ』 『リーバイスが「もののけ姫」とのコラボコレクションを発表』 『ファッションのテーマパーク「木更津コンセプトストア」でしかできない5のこと』 『代々木公園「PEACE DAY」で一青窈が無料ライブに出演』 東京の最新情報をタイムアウト東京のメールマガジンでチェックしよう。登録はこちら 

新進気鋭のデザインレーベル「HE∀DS」が、A24制作の新作映画とコラボ

新進気鋭のデザインレーベル「HE∀DS」が、A24制作の新作映画とコラボ

アカデミー賞で7部門を受賞した「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」の快進撃も記憶に新しい、映画製作・配給会社のA24が贈る新作「インスペクション ここで生きる」と、デザインチーム「HE∀DS(ヘッズ)」によるコラボレーションTシャツの販売が決定した。現在はHE∀DSの公式ウェブサイトおよび一部の劇場で予約が可能となっている。 ラインアップは、原作のモチーフを散りばめたロングTシャツ2色と、現代美術家cobirdによるコラージュをあしらった半袖Tシャツで、HE∀DSならではの遊び心にあふれたセンスが存分に発揮されている。ナウいバランス感覚と目を惹く配色はストリート映えマチガイなし、サイズ展開が幅広いのもうれしいところだ。 画像提供:HE∀DS 映画「インスペクション ここで生きる」は、新鋭監督エレガンス・ブラットンの長編デビュー作にして、自身の実体験を基にしたヒューマンドラマ。主演を務めたジェレミー・ポープ(Jeremy Pope)がゴールデングローブ賞で主演男優賞(映画・ドラマ部門)にノミネートされるなど、世界各国で高い評価を受けた。 「インスペクション ここで生きる」 音楽は、「21世紀最重要バンド」と称されるインディーロックバンドのアニマル・コレクティヴが担当しており、「強さと繊細さが同居する音を目指した」と語るサウンドトラックはエモーショナルかつ印象的だ。 グッズを手がけたHE∀DSは、グラフィックデザイナー、音楽家、ヘアスタイリスト、写真家、映像作家、編集者、アクティビストなどで構成されるDIYパンクデザインレーベル。ナードとアナキストの美学、独自のユーモアセンスを携えたデザインが支持を集めている。これまでに、踊ってばかりの国やゆうらん船といったロックバンドや、ドキュメンタリー映画「重力の光」などのグッズデザインを手がけ、いずれも即完売が相次いだ新進気鋭のチームだ。 画像提供:HE∀DS なお売り上げの5%は、社会情勢に応じて、HE∀DSがセレクトしたNPO法人などに寄付される。当面の間は入管法改正案の通過による国内の難民の地位悪化を考慮し、難民支援を行う難民支援協会が寄付先になるとのことで、詳細は公式ウェブサイトから閲覧可能だ。 アートとカルチャーに軸足を置き、新しい福祉のあり方を提示するHE∀DSの動向から目が離せない。と書くといかにもアリキタリなのだが、本当にそう思う。HE∀DSのセンスとアティチュードを筆者は完全に支持する。 関連記事 『静かになった? イギリス音楽フェスでの「音体験」が変化』 『伝説の野外フェスティバル、メタモルフォーゼが11年ぶりに復活』 『テクノ界の鬼才、エイフェックス・ツインが5年ぶりの新作を発表』 『恵比寿「リキッドルーム」が19周年記念イベントを網羅したアートワーク発表』 『東京、8月から9月に行くべき音楽イベント』 東京の最新情報をタイムアウト東京のメールマガジンでチェックしよう。登録はこちら  

歌舞伎町タワーで上裸で踊った夜、「ZERO TOWER FES」をレポート

歌舞伎町タワーで上裸で踊った夜、「ZERO TOWER FES」をレポート

2023年4月にオープンしたばかりの歌舞伎町タワーで開催された「ZERO TOWER FES」に行ってきた。2部構成、全7会場を使用した回遊型タワーフェスで、僕が観覧したのは第1部、デイタイムの後半戦である。本稿はその様子をレポートしたものであるが、そのまえに同所についての個人的な所感を少々書いておきたい。  SNSユーザーであれば周知の通り、歌舞伎町タワーは現在、あらゆる意味において話題をかっさらいまくっている物件であるが、僕はこの日まで足を踏み入れるどころか、まだ建物を目視したことさえなく、「一体どんなもんだべか~」という物見遊山テンションでホテホテ出かけてったのだが、なんつーか色々と感じ入ることの多い施設だった。 Photo:Kisa Toyoshima東急歌舞伎町タワー外観 サイバーでハイパーでエキゾチックなフロアデザイン   エスカレーターを上ってすぐの新宿カブキホール 歌舞伎横丁は、「祭りをテーマにした次世代エンターテインメントフードホール」とのことだが、まぁすげえ簡単にいうと『スト2』のエドモンド本田ステージの豪華版みたいな感じだ。 Photo: Kisa Toyoshima新宿カブキホール 歌舞伎横丁 外国人が思い描く、サイバーでハイパーでエキゾチックな日本の歓楽街のイメージを逆輸入し結晶化したようなフロアデザインははっきりとイミテーションであり、それ自体は別にいいのだが、かの「ミヤシタパーク」の渋谷横丁のようなグロテスクさが滲んでいると感じた。こうした横丁が歌舞伎町につくられたというのはとても現代日本的だと思う。色々な意味で。 異形で現代日本的なナイトスポット   で、地下の1~4階がライヴホールZepp Shinjuku (Tokyo)、クラブゼロトウキョウなのだけれども、これは2つの施設が併設しているワケではなく、営業時間帯によって名称が変わる仕組みになっているそうだ。 前述した横丁とは打って変わって、地下フロアは全体的に削ぎ落とされたソリッドなデザインだった。1960年代に思い描かれた近未来都市をアップデートしたような意匠で、特にエスカレーターなどはなかなか面白く、『ここから非日常空間ですよ~』と頭のスイッチを切り替えるような役割を果たしていると思う。 Photo:Yui Nogiwa 全階にバーカウンターがあり、廊下で仕切られたトイレ(しかも全部作りが違う)が設置されているあたりもとてもアテンド力が高い。フロアデザインだけでなく照明や音響にもこだわりを感じる。 photo:Kisa Toyoshima だが、最も気になった点はその雰囲気にある。なんというかヒリヒリしないのだ。精緻にデザインされたデカダン、希釈、ろ過されたストリートといったムードが渦巻いていて、まったくヒリつきがない。これはナイトスポットとして異形であると同時に、とても現代日本的であると思う。 急に誇大妄想めいた話になるが、石原都政が打ち出した浄化作戦の極致ではないか、というインプレッションを受けた。この場所がこれからどう発展していき、新宿、ひいては東京にどのようなフィードバックを与えていくかがとても気になる。   LOVEの波動   長々と所感を述べたが、ここからイヴェントレポートへ移る。 まず歌舞伎町タワーの入り口そばでプレイしていたのがDJのnasthugである。フェスのラインアップが映し出されたクソデカスクリーンの真下、そしてテナントで入っているスターバックスのウィンドウの真ん前という、冷静に考えて結構すごいロケーションに組まれ