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ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー

  • 映画
Super Mario Bros. Movie
Photograph: Nintendo; Illumination Entertainment & Universal Pictures
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タイムアウトレビュー

テレビゲーム原作の映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」は、愛すべきビジュアルと慌ただしいアクションの連続であっという間に終わってしまう。観ている間は楽しくても、その後は、クッパの殻のように空虚なのだ。

この作品は若い人たちには確かな喜びを与え、マリオ世代の人たちには「ファミコン」のコントローラーを手にして、もう一度「B」ボタンを押したい、という懐かしい気持ちを抱かせるだろう。

しかし、もしこの2つの世代のどちらにも属さないのであれば、この作品はかなり薄っぺらいものになるかもしれない。

主人公は、ブルックリンの配管工であるマリオ(声はクリス・プラット)だ。彼は、喧嘩の絶えない「ソプラノス」のような家族育ち(パスタソースで有名なドルミオ社の広告のように、イタリア系アメリカ人を認識したキャラクターが登場)。神経質な弟のルイーージ(声:チャーリー・デイ)とともに、不可解な土管に吸い込まれて、キノコ王国にたどり着くところからストーリーが始まる。

「オズの魔法使い」を意識した表現が見られるため、つながりが物語の全てだった同作のように、2つの世界の関係を明確にすることが重要だと思われる。

しかし、この作品はストーリーテリングの厳密さを追求しているわけではなく、ゲームをプレーする感覚をシンプルな冒険映画に詰め込むことに焦点を当てている。今作で共同監督デビューしたアーロン・ホーヴァスとマイケル・ジェレニックは、「レゴ・ムービー」のようなウィットやキャラクター開発よりも、ノリを優先しているのだ。

劇中には「タヌキスーツ」や「ノコノコ」などのキャラクター、「マリオカート」の「レインボーロード」といった場所、「マリオが回転する炎の棒でたたかれるシーンなど、「マリオシリーズ」からの引用や参照が多く出てくる。

さらに、アクションも満載。ルイージがクッパ(声:ジャック・ブラック)のダンジョンに幽閉され、クッパが隣のキノコ王国を支配するピーチ姫(声:アニャ・テイラー=ジョイ)を自分の花嫁にしようとする中、マリオは弟を救うために奮闘する。

ブラックによるクッパは、楽しい悪役だ。(「指輪物語」などに登場する)サウロンと(歌手の)ミートローフを掛け合わせたような気難しい人物で、ピアノを弾きながら自分の気持ちをパワーバラードに乗せるのが常。彼は、淡泊になるキャラクターに、ある種求められる質感を加えている。

一方、プラットのマリオは序盤に飛ばす、配管工事のテレビCMのためにアイタリアンをパワーアップさせるハチャメチャな演出のジョーク以降は、けん引力に欠ける(この当あたりのブルックリンのシーンは、「ゴーストバスターズ」から多くを引用している)。

内容は総じてベーシックなものだが、セス・ローゲンの汚い笑い声を武器にしたドンキーコングの登場や、万華鏡のような任天堂の世界を巡っていると、80分の短い時間があっという間に過ぎていく。 2度観ることはないだろうが、子どもたちはきっと気に入るだろう。「スーパーこのは」によるパワーアップのように、つかの間の高揚感を味わえるのは間違いない。 

テキスト:Phil de Semlyen、翻訳:タイムアウト東京
テキスト:
Time Out Tokyo Editors

出演者と制作者

  • 監督:Michael Jelenic, Aaron Horvath
  • 脚本:Matthew Fogel
  • 出演:
    • Charlie Day
    • Seth Rogen
    • Fred Armisen
    • Chris Pratt
    • Anya Taylor-Joy
    • Keegan Michael Key
    • Jack Black
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